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都市伝説には元ネタがあった。少女たちを魅了した秘密の占いその背景にある謎とは。
キューピットさん、キューピッドさまなどと呼ばれる占いがある。
もともとはコックリさんから派生したもので、そのやり方はコックリさんにそっくりなものから、まったく別のものまで複数ある。
コックリさんと似ているものの例としては、白い紙にひらがな五十音と0から9までの数字、そしてハート印を書いた紙を用意し、部屋の窓を開けて紙の上の10円玉に指を置く。そして「キューピットさん、キューピットさん、おいでください」といった言葉を唱えてキューピットさんを呼びだすと、10円玉を動かしてさまざまな質問に答えてくれるという。
このほかにも大きなハートをひとつだけ描き込んだ紙を前にして、ふたりで1本の鉛筆を握って行うという場合もある。
コックリさんと違うのは、コックリさんが動物霊や周囲にいる人間の霊を呼びだすとされるのに対し、キューピットさんは文字通りキューピットを呼びだすとされることだ。これは1970年代、コックリさんが大ブームとなったとき、コックリさんの最中にパニック状態になる子供がいたことが社会問題になり、多くの小学校でコックリさんが禁止されるなどの措置が取られた。
それでも子供たち、特に女の子たちの間ではコックリさん熱は下がらなかった。そこで現れたのがコックリさんではないコックリさん、キューピットさんやエンジェルさまだった。
キューピッドはローマ神話の恋の神クピドであり、エンジェルはキリスト教などにおける天使、すなわち神の使いである。その原典はともかくとして、何となくのイメージとしても、これらの占いで呼び寄せられるものは動物霊や人間の霊よりもよいものと子供たちに認識された。つまりコックリさんと違ってよい霊を呼びだすのだから問題ないという免罪符を得ることができた。少女たちは恋愛や友情に関わる内容をキューピットさんやエンジェルさまに尋ねることが多かったようだ。
しかしあくまでコックリさんの派生であるため、これらの占いを行った結果、霊が出現したとか、祟られたという怪談も多く語られた。
そんな中で、霊と友情を結んだ話も存在している。久保孝夫著『女子高生が語る不思議な話』にこんな話がある。
キューピットさんの占いにはまったある少女がいた。彼女はひとりでキューピットさんを呼びだすようになり、そのうちに次第に親しくなって呼び出さずともキューピットさんのほうから話しかけてくるようにもなった。しかしキューピットさんは自分が女性であるということ以外は教えてはくれなかった。
そんなある日、少女がいつものようにキューピットさんを呼び出し、話をしようとするといつもと雰囲気が違う。それを不審に思っていると、「し・ぬ・の・っ・て・こ・わ・い・ね」と話しかけてきた。実はこのキューピットさんはもともといじめられて自殺した生徒の霊だった。そしてキューピットさんはなおもつづける。「い・っ・しょ・に・き・て・く・れ・る」と。それに連れていかれてしまうと思った少女は「私はまだ死にたくない」と叫び、キューピットさんに謝った。それでも彼女は何度も誘ってきたが、少女は応じなかった。
すると、最後にキューピットさんは「ほ・ん・と・の・こ・と・を・い・っ・て・く・れ・て・あ・り・が・と・う・さ・よ・な・ら」といって、消えてしまったという。
この話は霊との友情を保ったまま終わったが、平安時代には、同じように霊と親しくなり、占いなどをしてもらって頼りつづけていた結果、悲劇を迎えた話がある。その霊は、小松僧都と呼ばれている。
小松僧都は実在した人物で、藤原道隆の子であり、藤原定子の弟でもある。延暦寺の僧、実因の弟子で、後に実因が小松寺の住持となったことにちなみ、小松僧都と呼ばれた。長和4(1013)年2月4日に36歳に死去している。
そして小松僧都の死後、平安後期に記された歴史物語『栄花物語』においては、小松僧都(隆円)の霊がもののけとして現れたと語られている。
小松僧都は藤原教通のもとに現れたという。教通は最初、死者の霊がやってくることを恐れていたが、次第に心を開き、小松僧都の霊と親しくなった。小松僧都も吉凶など何事もすべて教通に伝えていた。
そんなあるとき、教通の北の方が出産後、病に苦しんでいたため、僧を呼んで加持をさせていたところ、小松僧都が「この加持をやめよ、この命令を違えてはならぬ。読経にせよ」といった。
小松僧都を信じきっていた教通は、それに従い、「このもののけがいうのには、何か子細があるのだろう。加持をやめて読経に変えよ」と命じた。しかし北の方はそのまま息を引き取ったという。
つまり小松僧都は教通の信用を得るために近づいた上で最後の最後に裏切ったのだ。史実においては隆円と教通は従弟の関係にあり、確執はないが、隆円の父、藤原道隆と道通の父、藤原道長は兄弟でありながら道隆の死後、隆円の兄でもある藤原伊周と道長が争っていた。そして長徳の変で伊周が敗れ、道長のために道隆の一族が排斥されることとなったため、道長や教通は道隆の一族の霊を恐れていたという事情がある。『栄花物語』では、これを小松僧都と教通の関係として描いたのだろう。
もしかすれば、これを読んでいる人も何らかの形で死者の霊と親しくなる機会があるかもしれない。しかし、たとえ友情を育んだと思っても、油断してはならない。死者が生者に都合のよい存在で居つづけてくれるとは、限らないのだ。

(月刊ムー 2024年10月号掲載)
朝里樹
1990年北海道生まれ。公務員として働くかたわら、在野で都市伝説の収集・研究を行う。
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