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天日矛 著
読むうちに「時間の常識」を疑うことになる一冊
「ハッキング」から「今晩のおかず」までを標榜する、日本最大級の匿名掲示板「5ちゃんねる」。しばしば「便所の落書き」と称されるように、その膨大な書込みの99パーセントはただのゴミである(※評者の偏見です)。
だが時おり、そんな掲示板に、どうにも無視し得ない、キラリと光るエピソードが投稿されることがある。
たとえば、本書で詳細に検討が加えられる「2062年未来人」「ヤコブの梯子」などがそれである。
とくに後者は、都内に住むごく普通の青年が、岡田眞澄似の謎の男との出逢いをきっかけとして、時空の狭間に翻弄されていくという、異常なストーリー。常軌を逸した話でありながらも妙な生々しさがあり、他の投稿者との間でインタラクティヴに話が進んでいくというリアルタイム性からしても、単なる作り話と一蹴できない内容だ。
「本書のテーマは、〈時間は矢のように過去から現在、未来へと直線的に流れていて戻ることはない〉という従来の常識を疑うこと」
著者が再三述べているように、「エンタメ」として読むならば、まさに極上の一品であり、エンタメとして読んでいくうちに、「時空」に関する読者の感覚がいつの間にか書き換えられていくという奇妙な作品である。
著者・天日矛氏はYouTube上で圧倒的な支持を集める「啓蒙系インフルエンサー」。本書は氏のYouTube活動の集大成であるという。チャンネルともども、広くおすすめしたい。

(月刊ムー 2024年8月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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