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多くの謎に包まれている古代マヤ文明。高度な文明はもとより、彼らがどこから来て、そしてなぜ滅びたのか、その理由は今なお明らかになっていない、考古学最大の謎である。今回メキシコが国を挙げて取り組んでいる鉄道建設によって、また新たにマヤ時代の遺跡が発見され、話題になっているのだ。
2020年から開始された「Tren Maya(マヤ鉄道)」プロジェクト。これはメキシコ南東部・ユカタン半島の中心都市カンクンを起点に、点在しているマヤ遺跡を結ぶ、走行約1500キロの観光路線プロジェクトである。このプロジェクトにより、ビーチリゾートの開発など莫大な利益が生まれると予想されているが、建設作業はここにきて暗礁に乗り上げているようだ。

ことの発端は2022年9月。マヤ鉄道ルート上にあるキンタナ・ロー州で300を超えるマヤ時代の遺跡が発見されたことだった。なかには8メートルを超える建造物もあったことから、メキシコ人類学研究所(INAH)は「考古学的にも大変貴重な発見である」と発表、遺跡群を「パルムⅡ」と名付け詳しい調査を開始した。
これにともない、急ピッチでパルムⅡの回避ルートが検討されているが、キンタナ・ロー州は、古代マヤ文明が最盛期を迎えた地域とされる場所である。周辺にはまだまだ歴史的遺産が数多く残されていることが明らかになっており、線路の敷設には十分な調査が必要だとする考古学者も多く、建設作業は完全に保留となっているのだ。
さらに今年9月にも、マヤ鉄道のルートから400メートルしか離れていない洞窟の水中から、紀元前のものと思われる人骨が発見されている。INAHによると、人骨は直近最後の氷河時代とされる約8000年前のもので、近くのセノーテ(聖なる泉)から流れてきたと推測されているようだ。
古代マヤの言葉で「聖なる泉」を意味するセノーテは、石灰質の岩肌に開いた巨大な水中洞窟で、古くからそこには雨の神が宿り、異界へつながる入り口だと信じられている。それだけに、今回発見された約8000年前の人骨がここで亡くなったものなのか、それとも生贄とされたのか、またその性別や年齢についてもさらに詳しく調査を進めていく必要があるということだ。

現在でも、セノーテは近隣農民が豊作を願い供物を捧げている聖地だ。ユカタン半島に点在しているセノーテ周辺は聖域とされ、その水源はもちろんのこと、古くから崇め、守られてきた場所だという。しかし、今回のマヤ鉄道の建設ルートにあるという理由から、一部埋められる予定のセノーテもあるそうだ。
そしてこの記事を書いている間に、またさらなるニュースが飛び込んできた。マヤ鉄道の敷設ルート上に、新たに遺跡がふたつ発見されたというのだ。INAHのエルナンデス所長は「ルートを変えたとしてもまたさらに多くの遺跡が発掘されるだろう。問題は発見された遺跡の考古学的なサポートである」と会見を行っている。
来年12月の着工を目指すマヤ鉄道プロジェクトだが、これはかなり難航しそうである。ルート周辺では鉄道建設を見越したホテル開発も進められていたが、不動産会社が購入した私有地からもマヤ遺跡が発見されるなど、当分収拾はつかなそうだ。
ここまで多くの考古学的遺産が発見されていることにも驚きだが、なぜ今まで発見されなかったのだろうか。今回の発見が、長い間謎とされてきたマヤ文明の解明に少しでもつながることを願うばかりである。

遠野そら
UFO、怪奇現象、オーパーツなど、海外ミステリー情報に通じるオカルトライター。超常現象研究の第一人者・並木伸一郎氏のスタッフも務める。
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