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人類の生存に不可欠な大気と水を月面にもたらす方法について、まさかの手段があるという…。
月で人間が生活できない理由のひとつに、空気がない、という大前提がある。周知のとおり、月には酸素どころか大気がないため、常に宇宙服を身にまとい酸素を供給しつづけなければならない。昔から月面基地の構想はあったものの、大気がないということで、人類は月を移住先に選べない、と思われてきた。

だが、月には微量ながら大気はあることが、1988年に判明した。NASAの天文学者が、地球上からの分光観測(恒星からの光を分解し、波長ごとの光の強さを観測する方法)によって、「ナトリウムとカリウムの共鳴散乱発光」という現象が確認されたのだ。
ついで2007年12月、日本の月周回衛星「かぐや」の観測によって、月には非常に希薄な大気(外気圏)があり、月面から放出されたガスが大気となるが、すぐに宇宙空間に失われていく過渡的なものであり、朝と夕方ではその大気の量が半分程度まで減少するという、実に不安定な大気であることもわかった。
地球から一番近い天体の月に大気があり、酸素と水が存在すれば、月への移住はもちろん、未来の宇宙開発拠点として大いに役立つであろうことは、科学者でなくてもわかるだろう。そこで今、密かに「月に人工的に大気と水を作る」という計画が持ち上がっているのだ。
その方法はというと、月の地下深くで、小型の核爆弾を年間15個ほど爆発させる、というものだという。爆発のエネルギーで毎年1万トンの酸素と莫大な量の有用鉱山が回収できるという、かなり荒っぽい方法だ。さらには手っ取り早く、彗星を月に衝突させるという計画もあるという。太陽系にやってくる彗星の軌道を人工的に動かし、月に衝突させるのだ。ちなみに彗星は、「汚れた雪玉」といわれるように、大気となる成分や大量の水と有機物質を持っている。これを衝突させるだけで、比較的簡単に大気と水が生成できるのだそうだ。

荒廃した砂漠の大地である月の表面には、水は存在しないと思われていたが、近年の観測では水は存在するといわれている。
2009年9月、インド初の月探査機「チャンドラヤーン1号」は月の水を検出した。NASAはチャンドラヤーン1号に搭載したレーダー機でのデータを元に、月の北極付近にある永久影を持つ40のクレーターに、少なくとも数メートルの厚さの氷の層があり、総計6億トンの水が存在するのではないか、という見解を発表しているのだ。


月の地上は大気が薄すぎて常に宇宙にさらされているため、水が表面に留まっていることはない。水があったとしても、すぐに水蒸気となり太陽の光で分解されてしまう。そのため、月の表側には、水は存在しにくい。だが、極付近にあるクレーターには日光が当たらないため、たまたまクレーターに落ちた水が、おそらく数十億年以上も氷となって眠っていたと考えられるのだ。
月に水をもたらしたのは、おそらく衝突した小惑星や彗星だろう。月の創世記に極付近へ衝突した彗星が水をクレーターへと流し込み、そのまま凍結してしまったと考えられるのだ。
月に水があるとすると、将来実現するであろう月への移住や宇宙基地建設に、大いに役立つことになる。飲料や植物への利用、燃料の生成、さらに酸素を作り出すことも可能となる。人類が利用できる水が月にあるのであれば、移住も夢ではなくなるのだ。
現在、宇宙ステーションで生活する宇宙飛行士たちは、生活用水として1日3・5リットルほどの水が必要だという。この水は宇宙飛行士達の尿を飲料化する再生装置を使って作られている。なぜなら地球から水を運ぶには、莫大な費用がかかるからだ。もし、月に利用できる水があるなら、地球における宇宙開発が大きく変わることは間違いない。それは、そう遠くない未来なのである。

並木伸一郎
「ムー」創刊当初から寄稿するベテランライター。UFO研究団体ICER日本代表、日本宇宙現象研究会(JSPS)会長などを兼任。ロズウェルやエリア51をはじめ現地調査を重ねて考察し、独自の仮説を「ムー」や自身のYouTubeなどで発表している。
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