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フランス版「エクスカリバー」にいったい何が起こったのか──。1300年間岩に刺さったまま抜けることのなかった伝説の剣が、突如消え失せてしまった!
フランス南西部に位置する歴史ある風光明媚な村・ロカマドゥールが大騒ぎになっている。1300年ものあいだ岩に突き刺さったまま決して抜けることのなかった“伝説の剣”が、謎の消失を遂げてしまったのだ。
消失した剣は「デュランダル」と呼ばれており、もともと岩壁の高さ32フィート(約10メートル)にある亀裂に突き刺さっていた。その左右には、岩肌にぴたりとへばりつくかたちで石造りの建物(聖母礼拝堂)が迫っているが、剣を抜くための足場などは見当たらず。そもそも剣は金属製の鎖で岩に固定されているため、自然に抜け落ちる可能性もほとんどない。

そんなデュランダルの剣が消失したのは7月1日のこと。警察は窃盗事件として捜査に着手したとはいえ、剣の刺さった場所や保護区の隣という立地上、そもそも本当に誰にも気づかれることなく剣を引き抜き、持ち去ることなど可能なのかどうか、首を傾げるばかりのようだ。

1300年という途方もない年月からわかるとおり、決して抜けない「デュランダル」は、いわばロカマドゥールの象徴となっていた。ドミニク・レンファン村長は現地メディアに対して、「私たちの村とこの剣の運命は結びついています。何世紀もの間、ロカマドゥールの一部であり、訪問中にここを案内しないガイドはひとりもいません」と語っている。
レンファン村長によると、剣の長さは80センチで、人や馬の命を奪うためではなく気絶させるために作られたようだという。中世に生まれたフランス騎士道物語(叙事詩『ローランの歌』)の主人公として有名な騎士(パラディン)ローランが、フランク王国の全盛期を築いたカール大帝から贈られたが、もとは皇帝が天使から奪った「不滅の剣」と伝えられてきた。

このローランはロンスヴォー峠の戦いで命を落としたが、実は死の間際にデュランダルが敵に渡ることを恐れて剣の破壊を試みている。ところが剣はびくともせず、空中に放り投げたところ奇跡が起き、何百キロも先まで飛んでロカマドゥールの岩壁に突き刺さったというのだ。ちなみに、「デュランダル」は巨大な岩も真っ二つに切り裂くことができるといわれており、実際に岩壁の亀裂に刺さっていたことを考えると、あながち“ただの伝説”とは言い切れないだろう。
岩に突き刺さった剣といえば、誰もがアーサー王伝説に登場する聖剣「エクスカリバー」を思い出すだろう。岩から剣を抜くことができた者が統治者になるという言い伝えがあり、その言葉どおり剣を手にしたアーサー王がイングランドを治めた。「デュランダル」もフランス版「エクスカリバー」として多くの人々に親しまれてきたが、世界的な知名度は今ひとつ。それが皮肉にも、今回の消失事件によって一気にその名前と伝説が知れ渡ることになった。

ちなみに日本では、霧島連山・高千穂峰の頂上に突き刺さった「天逆鉾(あまのさかほこ)」が“謎多き伝説の鉾”として名所化している。江戸時代の文献にも記され、誰が何のために設置したのか諸説あるが真相は不明のまま。かつて、そんな伝説の鉾が抜かれる出来事があり、その人物こそ新婚旅行で当地を訪れていた坂本龍馬だった。
いずれにしても、エクスカリバー然り、「天の逆鉾」然り、伝説の武具に起こる異変には歴史上重要な人物が関わっていたり、深い意味が見出されてきた。現在、フランスはパリ五輪を目前に控える一方、極右政党の台頭でも注目を集めている。大きな社会的トピックが進展する最中、いったいなぜ、どのように伝説の剣は消失したというのか、この事件には私たちの想像を超えた意味があるのだろうか。
webムー編集部
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