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台風の季節になると囁かれる「気象兵器」の噂。サイエンスライターが実現可能性を解説。実現に必要な技術は日本が握っている!
ここ数年、ツイッターなどを見ていると、地震が起きると地震兵器が使われた、台風が来て水害が起きるとアメリカの気象兵器だと書き込まれる。
だが、たとえば「地震兵器は地殻に核爆弾を埋め込んで引き起こす」と言うが、311東北大震災のマグニチュード9のエネルギーを広島型原爆に換算すると3万2000発相当で、まったく桁が違う。
というわけでほとんど妄想ではあるが、可能性としてはどうなのか? 考えてみよう。
昔からよく言われる気象兵器は2種類ある。
ひとつは巨大な電子レンジのように、人工衛星から強力なマイクロウェーブを海上に照射するもの。海水を電子レンジに放り込んだように加熱させ、その熱で台風を発生させる。衛星はマイクロウェーブを中継するだけで、地上基地から照射するという話もある。
もうひとつは空気中にヨウ化銀とアルミニウムの粒子を散布して置くもの。ヨウ化銀は空気中の水蒸気の核となって水滴となり、雲を作り、雨を降らす。その雨のタイミングを調整するのがアルミニウムで、雨を降らせたいタイミングで雲にマイクロウェーブを照射する。マイクロウェーブがアルミニウム粒子を過熱させ、その熱がきっかけとなって大雨が降るという仕組みだ。
ただし、どちらも強力なマイクロウェーブ発生装置が必要だ。
天候を変えるほど強力な装置が開発されたという話は、少なくとも一般的には知られていない。

これまで気象兵器と言われていたものは存在しない。
では、これから先はどうなのかというと、これが不穏なのだ。
気象兵器が成立しないのは、台風を作り出せるほど広域の温度を上げる技術がないからだ。しかしそれがあれば、気象兵器はあり得る。
宇宙太陽光発電という構想がある。宇宙に巨大な太陽電池基地を作り、そこで発電した電気をマイクロウェーブに変えて地上に送信するもので、次世代発電システムとして日本などで研究されている。
もし太陽光発電が実用化したとすると、その発電量は1平方キロメートルあたり約560メガワット、原子炉の半分程度の電力を作り出す。
この電力がマイクロウェーブに転換されて地球に送られてくるので、その照射された場所はまさに電子レンジの中になる。
これで台風を発生させることができるのか? いや、まだだ。台風のパワーを電力換算すると約10,000ギガワットが必要になる。比較するのもバカバカしいほど桁違いにエネルギーが足りず、到底、台風など作り出せない。
そこで台風のコース変更に使おうと特許を取ったのが、アメリカのソラーレン社だ。
宇宙から照射したマイクロウェーブを直径5kmに集中させ、台風の中に温度差を作ってコースを変えるというのだ。部分的に約2℃から約12℃の温度上昇が見込まれ、それによりコースが変わる。これは現実的なところだ。

もしこれを兵器転用できれば、狙ったコースで台風を敵国の首都なり軍事拠点に上陸させ、水害で破壊することができるだろう。
宇宙太陽光発電は日本の研究が一番進んでいるので、もしかしたら日本が世界初の気象兵器保有国になるかもしれない。

久野友萬(ひさのゆーまん)
サイエンスライター。1966年生まれ。富山大学理学部卒。企業取材からコラム、科学解説まで、科学をテーマに幅広く扱う。
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