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田中英道 著
言語学の観点から、「田中史観」を語る
いわゆる「日ユ同祖論」者の間で、バイブルのように扱われている研究書がある。ヨセフ・アイデルバーグ著『日本書紀と日本語のユダヤ起源』である。だが同書は実質、今から30年以上も前の本である。同書以後も日本古代史の分野では、少なからぬ重要な新発見が続き、新たな知見が提唱されている。
本書は、このアイデルバーグの著書を俎上に上げ、その後の新情報を加えつつ、著者独自の「田中史観」に落とし込んでいく試みである。
アイデルバーグは、ユダヤの失われた10部族こそヤマト民族の祖であると主張するが、著者・田中氏の考えは違う。紀元前12世紀ころから5波ほどにわたって、ディアスポラのユダヤ人が日本列島にやってきた。そして彼らはそのまま、既存の日本文化に溶け込み、同化した、というのが著者の主張である。
評者は個人的に、いわゆるユダヤ人渡来説の中では、この「田中史観」こそ最も卓越したものと考えている。田中氏は、これまでにも精力的に、この史観に関するさまざまな著作を上梓されているが、本書は言語学の観点から、この史観を語るユニークなものとなっている。
特に、アイデルバーグが主張する、ヘブライ語由来の日本語500の中から、著者が妥当と思われるものを96例も精選し、詳細な解説を加えた第3章はまさに圧巻で、「田中史観」のファンなら、必ず書架に備えるべきものである。

(月刊ムー 2024年5月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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