縄文ビーナスから読む縄文時代の神学とアマテラスの正体/斎藤守弘・極孔神仮説(後編)
前衛科学評論家を自称し、UFOから超古代文明まで視野を広げていた故・斎藤守弘氏は、晩年に「縄文のビーナス」に着目し、古代「極孔神」信仰についての研究を重ねていた。遺稿をもとに、原始日本の精神文明を解き
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都市伝説には元ネタがあった。今回は花子さんのライバル。 「やーみ子さん!」 「はぁーい」
やみ子さん、この名前を見て多くの人が思い浮かべるのは、トイレの花子さんのライバル、というイメージではないだろうか。
これは恐らく、フジテレビ系の子ども向け番組、『ポンキッキーズ』内で放映されていたアニメ「学校のコワイうわさ花子さんがきた!!」に登場するキャラクター「やみ子さん」が同番組の主役である花子さんのライバルであったことに由来している。
一方、実際に学校の怪談として伝わるやみ子さんにはさまざまなバリエーションがあるが、多くは花子さんと関連が深い。
たとえば東京都のある小学校に伝っていた話では、3階トイレの入り口から3番目の前に立ってドアを3回叩き、「やーみ子さん」というと中から微かな声で「はぁーい」と返事がある。ドアを開けると中は真っ暗で、黒いものが現れる、と語られている(常光徹著『学校の怪談4』)。
この3階の3番目のトイレ、ドアを3回叩くなど、3という数字が多く登場する点は花子さんの話に多く見られる特徴だ。 また、岡山県のある小学校で語られていた話は、トイレの花子さんを呼ぶと「私はやみ子よ」といいながら現れ、「遊んで」というため、これに同意すると闇の中に連れ去られ、否定すると殺される、という話だった(常光徹著『学校の怪談7』)。
花子さんとやみ子さんが同じ学校に現れる話もあり、愛知県のある小学校では、花子さんを見ると幸せになれるが、やみ子さんを見ると不幸になると語られていたという(日本民話の会・学校の怪談編集委員会編著『学校の怪談11』)。
こうした話の一方、トイレではない場所に現れるやみ子さんの話もある。福井県のある小学校では階段に15分以上立っているとやみ子さんが現れ、足を縛られて殺されてしまうという話が伝わっていたという(日本民話の会・学校の怪談編集委員会編著『学校の怪談スペシャル3』)。
さまざまなバリエーションを持つやみ子さんだが、中でも特殊なパターンがある。赤子とともに現れるやみ子さんだ。
たとえばある小学校には赤子を抱いた若い女性の姿をした姿で現れるやみ子さんがおり、子どもがそのトイレに入ると後からトイレに入ってきて、「すみません、ちょっとこの子抱いていてくれませんか」と頼む。その赤子は十数える間にどんどん重くなり、最後は抱いていられないほどになるという(日本民話の会・学校の怪談編集委員会編著『学校の怪談2』)。
他にも岡山県の学校に伝わる話では、夕方、だれもいない体育館の前を通るとやみ子さんがいて、隣に赤子を抱いた女性が立っている。このとき「赤ちゃん好きですか?」と聞かれて好きと答えると「じゃあ、この赤ちゃん抱いてくださる?」と赤子を渡され、一歩でも動くと赤子が巨大化して食われてしまうという(常光徹編著『みんなの学校の怪談赤本』)。
この赤子を手渡す、という行動は本来赤子がいない小学校に現れる存在としては似つかわしくないが、実はこれと同じ行動する妖怪が古くから語られている。その中でも代表的な「産女」という妖怪について紹介しよう。

産女の最も古い記録は、平安時代末期に記された仏教説話集『今昔物語集』にあると考えられている。その話は以下のようなものだ。源頼光が美濃守を務めていたころ、武士たちが部屋で物語をしていた際、「この国の渡というところに産女がいて、夜になって川を渡ろうとすると泣いている赤子を差しだして、この子を抱いてくださいというそうだ」という話になり、頼光の郎党である平季武がそこへ向かうこととなった。
無事渡に到着した季武が川を渡った証拠に向こう岸に矢を突き刺し、引き返そうとしたところ、川の真ん中あたりで赤子の泣き声がし、「この子を抱いてください」という女が現れた。
季武は怯まず「では抱いてやろう」と女から子を受け取り、そのまま去ろうとした。女は「その子を返してください」と頼んだが、季武は無視して去ってしまった。そして武士たちの待つ部屋へと戻ったが、抱いた赤子はいつの間にか木の葉に変じていた。この産女は狐が化けたものとも、産褥で死んだ女が霊になったものだともいわれている。
このように、産女は初期の段階で子どもを手渡す妖怪として語られている。さらに近世には産女は中国の妖怪、姑獲鳥と混同されるようになる。姑獲鳥は人の子どもをさらって自分の子にするという、産女とは真逆の性質を持つが、その正体は難産で死んだ女性のなれのはてともいわれている。
木場貴俊著『怪異をつくる』によれば、両者を結びつけたのは林羅山が近世初期に書いた和漢名対称辞典『新刊多識編』で、これが広まり、「姑獲鳥」を「うぶめ」や「うぶめどり」と呼ぶようになったようだ。
産女は平安時代以降、さまざまな形で語られており、産女の手渡された赤子を抱くと次第に重くなるが、それを耐えきると赤子が黄金に変わっている、大力を授かるといった話もある。
また抱いた赤子が喉に嚙みついてくるという話もある。これらの話は、やみ子さんの話に登場する赤子の性質とよく似ている。
やみ子さんは恐らく初めはトイレの花子さんと同じ、トイレの怪異として語られたものだったと思われる。しかしその中で産女の性質を受け継ぐものが現れた。
産女もやみ子さんもそれが登場する話には多くのバリエーションがある。ゆえに、もし学校でやみ子さんから赤子を手渡されたとき、それを受け取った者に何が起きるのかはわからないのだ。


(月刊ムー2023年11月号掲載)
朝里樹
1990年北海道生まれ。公務員として働くかたわら、在野で都市伝説の収集・研究を行う。
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