「サスペリア」を予見していた? 恐怖漫画『13月の悲劇』のシンクロニシティ/昭和こどもオカルト回顧録
「私が見た未来」(たつき諒)よりも前に、予言のような漫画が描かれていた……? 映画『サスペリア』『フェノミナ』に先行した『13月の悲劇』は予知漫画だったのか?
記事を読む

テレビがまだ娯楽の中心だった1970〜1980年代。UFOや超能力、ネッシーなどを紹介し、全国に一大ブームを起こした男がいた! 彼の名は、矢追純一。その後の日本人の意識を大きく変えた、伝説のテレビ・ディレクターの知られざる真実に迫る!
ユリ・ゲラーの超能力ブームが落ち着いた1976年、矢追氏は新たなオカルトブームを巻き起こした。
この年の10月21日に放送された日本テレビ「木曜スペシャル ネス湖の怪獣・ネッシーは実在する!?」で、世界でもっとも有名なUMAであるネス湖のネッシーの姿をとらえようと、矢追氏ら取材チームは大掛かりな撮影機材を携えてネス湖へと向かったのである。
今回の取材で特に力を入れたのが、最新型のテレビカメラを湖底に降ろし録画中継をするというもので、それは世界初の試みであった。
それまでにも何度かネス湖を訪れていた矢追氏だったが、水中撮影用カメラや暗視カメラなど多数の最新鋭機材を持ちこむのは、後にも先にも初めてだったという。
「僕が最初にネス湖を訪れたのは『11PM』という深夜番組の取材でした。まだ小型のビデオカメラなんてない時代で、手巻きの8ミリフィルムカメラを回しながら、音は肩に掛けた重いレコーダーで録ってました。おもしろそうなネタがあれば、どこへでもすぐに取材に出かけましたから。そういう取材のやり方は、その後も基本的には変わらなかったかもしれません」
そんな矢追氏が敢行した1976年のネッシー取材だが、このとき湖底に降ろした水中カメラは、まさにネッシーらしき影をとらえていた。
「最初はレンズの影かと思ったんです。でもよく考えてみたら、水中カメラのレンズの両サイドには照明がついていて、レンズは照明の後ろになるんです。だから位置的にレンズの影が出るわけがない。ネス湖には水質の関係で大きな魚はほとんどいません。だからあのときに湖底の一部を覆うように現れた影は、まさにネッシーの一部だったんじゃないかと、今でも思っています」


「ネス湖のネッシー」といえば、矢追氏の番組を視聴した世代にとっては、まさに特別なロマンを感じるものだ。筆者もいつかはネス湖へ行きたいと思いつづけ、実際に現地でネッシーの姿を追い求めた経験がある。
ネス湖はロンドンから飛行機でおよそ2時間。スコットランド北部に広がる長さ約38キロ、幅約2キロ、水深約230メートルの細長い淡水湖だ。周囲から流れこんだ土が堆積していて透明度は低い。湖畔に点在する古城から望む湖が、多くの謎を秘めているかのように神秘的に輝いていたのを覚えている。
矢追氏はこのとき、実際にネッシーを目撃・撮影した人々の証言も詳細に紹介した。
「ネッシーの記録は今から1500年以上も前からあるんです。ネス湖に面して建つ聖ベネディクト修道院には、ネッシーを踏む聖コロンバの像が今も残っています」
西暦565年に書かれた『聖コロンバの生涯』という書物には、ネス湖で漁を営んでいた男が水中から突如現れた巨大な首長竜に殺害されるという事件が発生し、聖コロンバは神に祈りを捧げ、首長竜を追いはらったという記述がある。矢追氏はいう。
「子供のころから『湖には怪物がいるから絶対に近づくな』といわれていたというお爺さんにもインタビューをしました。実際、周辺を聞きまわると、じつに多くの人がネッシーを子供のころから目撃しているんです」
2022年8月には、矢追氏の番組放送から半世紀ぶりに、ネス湖の大規模な調査が2日間にわたって行われている。
残念ながらネッシーの存在は確認されなかったが、その結果だけをもってネッシーの存在を否定する報道には、矢追氏も苦笑いを浮かべていた。




矢追氏の「ネッシー特番」が放送されると、日本列島は瞬く間にネッシーブームに覆われていった。
北海道・屈斜路湖の「クッシー」をはじめ、鹿児島県・池田湖の「イッシー」、山梨県・本栖湖の「モッシー」など、まるで冗談のような名がつけられた水棲生物の目撃・撮影が続いたのだ。
さらに1977年7月には、日本の遠洋トロール船・瑞洋丸が、ニュージーランドの沖で引きあげたという、ネッシーそっくりな謎の生物の死骸の写真が報道され、大きな話題となった。全長約10メートルの巨大な死骸は腐乱が進んでおり、写真や骨格の測定、ヒレの採取が行われただけですぐに海へと戻された。マスコミは「ニューネッシー発見!」と騒ぎ、連日のようにワイドショーや週刊誌の誌面を賑わせた。矢追氏も番組で取材したが、その後の調査で正体はウバザメと断定された。当時を思いだし、矢追氏はいう。
「でもね、ニューネッシーの背中には、ウバザメにはない赤肉や脂肪があったんです。だから、あの正体はいまだに謎なんですよ」
こうして矢追氏が巻き起こしたUMAブームは、「生け捕れば懸賞金2億円」というツチノコの登場など、止まることを知らない熱狂を巻き起こしていったのである。
(月刊ムー 2024年10月号)
関連記事
「サスペリア」を予見していた? 恐怖漫画『13月の悲劇』のシンクロニシティ/昭和こどもオカルト回顧録
「私が見た未来」(たつき諒)よりも前に、予言のような漫画が描かれていた……? 映画『サスペリア』『フェノミナ』に先行した『13月の悲劇』は予知漫画だったのか?
記事を読む
ムー的古代史を盛り込んだ小説『アマテラスの暗号』が文庫化!
隠された日本古代史の謎に迫る!?
記事を読む
目指すは鬼マスター! 伊豆大島に役行者の足跡を追う/松原タニシ超人化計画・伊豆大島(1)
松原タニシが超人の足跡をたどり、自らも超人となることを目指す「松原タニシの超人化計画」。これまで4回はもっぱら山に登っていた感じもあるが、今回、旅はついに海を越える!
記事を読む
釜茹で、鞭打ち、石臼挽き…あの世の“責め苦”を完全再現! 台湾・大崗山超峰寺の「立体地獄」/小嶋独観
珍スポ巡って25年、すべてを知る男による台湾屈指の珍寺・奇祭紹介!
記事を読む
おすすめ記事