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神秘主義者としてのミュシャとその時代を振り返りながら、府中で開催されるミュシャ展に想いを馳せよう
アルフォンス・ミュシャ(1860〜1939)は、19世紀末から20世紀初頭にヨーロッパで花開いた芸術様式「アール・ヌーヴォー」を代表する画家だ。独特の植物文様で彩られた優美な女性像が有名で、画家としてもデザイナーとしても輝かしい足跡を残している。
そんなミュシャの魅力に迫る展覧会「アルフォンス・ミュシャ ふたつの世界」が、東京都府中市の府中市美術館で開催される。期間は2024年9月21日(土)〜12月1日(日)。
展覧会では、ミュシャが手がけた「版画の代表作」と「大型の油彩画」の双方を展示し、ふたつの視点でその魅力を深掘り。さらに素描や貴重な下絵なども合わせて公開される予定だ。
…というのが、一般的にミュシャとその展覧会を紹介する際の文章になるわけだが、ここはwebムー。多くのムー民が「ミュシャといえばアレでしょ?」と思うだろう。
そう、「ミュシャといえばフリーメイソン」である。せっかくなので今回は、ミュシャとオカルティズムについて伝えられていることを軽く振り返ってみよう。

ミュシャが活躍した19世紀末のヨーロッパは、約100年前に起こった第一次産業革命によって、大量生産・大量消費の時代に入っていた。モノを売るために「宣伝」の重要性が高まり、商業ポスターや装飾デザインの分野が盛り上がりを見せた時期だ。
そんな当時のフランス・パリで、舞台女優サラ・ベルナールの演劇「ジスモンダ」の宣伝ポスターを描いたことがきっかけで、ミュシャは一躍時代の寵児となる。以降、さまざまな宣伝ポスターやパネル、商品パッケージの絵を手がけ、華やかな「ミュシャ様式」がヨーロッパ中で流行した。

一方で、科学技術の発展が取り沙汰される反面、「世紀末」という区切りを目前に退廃的な雰囲気も漂っていた時代だった。同時期に心理学や精神医学が発達したことも重なって、人間の内面を掘り下げ神秘主義に目覚めるオカルティズムに注目が集まり、それらに影響を受けた芸術家も多く「象徴主義芸術」の流行に発展していく。
ミュシャも、優美な女性像のポスターを描く一方で、心霊研究など神秘主義に傾倒していた1人だった。自分のアトリエで降霊術の実験を行ったこともあるという。そんな風にオカルティズムを極める中で、フランスのフリーメイソン組織に入会したそうで、のちに故郷チェコの支部でグランドマスターを務めるなど組織の重要人物として活動した。
フリーメイソンとしての活動は、ミュシャの作品制作にも少なからず影響を与えた。「プロビデンスの目」など、よく見るとミュシャの作品には、数々のフリーメイソン的シンボルが隠れていることがある。また、フリーメイソンについての著作(「原題:Svobodne zednarstvi」)も残していることも有名だ。

今回の展覧会は、パリ時代の華やかな版画と、パリを離れた後半生に打ち込んだ油彩画が合わせて展示される貴重な機会となるが、上述のフリーメイソン的シンボルやその博愛主義精神が、少なからずその制作思想に影響を与えたことは想像に難くない。
そんなわけでミュシャ展を見に行くとき、オーソドックスに「アール・ヌーヴォーを代表する画家」として閲覧するのも良いが、そこにもう一つの側面である「オカルティストとしてのミュシャ」を踏まえると、また奥行きのある楽しみ方ができる。ぜひ、さまざまなミュシャの顔をその作品内に見つけてみてほしい。




<アルフォンス・ミュシャ ふたつの世界>
【会期】2024年9月21日(土)〜2024年12月1日(日)
【会場】府中市美術館
【住所】183-0001 東京都府中市浅間町1丁目3番地(都立府中の森公園内)
【休館日】 月曜日(9月23日、10月14日、11月4日は開館)、9月24日(火)、10月1日(火)、10月8日(火)、10月15日(火)、11月5日(火)
【開館時間】午前10時~午後5時(入場は午後4時30分まで)
【料金】一般:1000円(800円)、高校生・大学生:500円(400円)、小学生・中学生:250円(200円)※( )内は20名以上の団体割引料金
▼府中市美術館 公式サイト
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/
▼本展特設サイト
http://fam-exhibition.com/mucha2024/
杉浦みな子
オーディオビジュアルや家電にまつわる情報サイトの編集・記者・ライター職を経て、現在はフリーランスで活動中。
音楽&映画鑑賞と読書が好きで、自称:事件ルポ評論家、日課は麻雀…と、なかなか趣味が定まらないオタク系ミーハー。
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