端午の節句に振り返る! 子供の想像の中に潜む「お化け」の姿/黒史郎・妖怪補遺々々
当連載に季節感を忘れず心がける筆者が、5月といえばーーのお題で「子供の日」から、今月は子供だからこそ〝出会える〟「お化け」を補遺々々しましたーー ホラー小説家にして屈指の妖怪研究家・黒史郎が、記録には
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書評家・ゲームコラムニストの卯月鮎が話題のゲームから連想されるオカルト、超常現象、不思議をピックアップ。これらを知っておけばゲームがもっと楽しくなるかも!?
自由度が高いシナリオと、戦闘中に新技を編み出す「ひらめき」など独創的なシステムで、RPGの革命児として名高い『サガ』シリーズ。その最新作『サガ エメラルド ビヨンド』が4月25日に発売されました。
クグツという人形を操る青年・御堂綱紀や玉座を追われた闇の王・シウグナス、力を失った魔女アメイヤなど、緑色の波動が見える6人5組から主人公を選び、17の世界を巡る冒険に旅立ちます。
プレイヤーの選択によって大きく変化する物語は、シリーズ最大の分岐数を誇り、しかもクリアすると新しく選ぶ主人公のシナリオにも影響を与えます。どこまでも広がる可能性の波に揺られてみては?

では、『サガ エメラルド ビヨンド』から連想されるムー的キーワード3つを挙げていきましょう。
本作の鍵を握るシステムは、主人公たちを導く「エメラルドヴィジョン」。各世界をつなげる「連接領域」というエリアで、エメラルドヴィジョンが指し示す複数の扉のうち、ひとつに入ると物語が進んでいきます。
もともとエメラルドは、緑柱石のなかでも特に濃い緑色のものをそう呼び、古来からもっとも尊ばれた宝石のひとつです。帝政ローマの皇帝ネロは、エメラルドを通して剣闘士たちの戦いを観戦したとされています。キリストの最後の晩餐に使われた聖杯もエメラルド製と伝えられてきました。
中世ヨーロッパでは魔除けの力を持つとして珍重されたエメラルド。錬金術で重要視されたのが「エメラルド・タブレット」という文書です。錬金術の創始者である古代の錬金術師ヘルメス・トリスメギストスの遺体の上に置かれたエメラルド板に刻まれていたとされる文章がもととなり、錬金術の教義として発展していきました。あのアイザック・ニュートンも錬金術を研究していたことは有名な話。この「エメラルド・タブレット」を翻訳した英語版を作っており、その原稿は今ではケンブリッジ大学に所蔵されています。

主人公のひとり、御堂綱紀は歴史ある古都「ミヤコ市」の結界を守る使命を果たすため、さまざまな世界を訪れることになります。
古来から多くの人が集まって暮らす都市には、霊的な守護を施されているケースが見られます。中世ヨーロッパのカトリック教会では守護聖人崇拝があり、特定の聖人が国や都市を守ると考えられていました。
一方、東アジアでは風水に基づいた都市計画が伝統的に行われてきました。平安京が栄えた京都はもちろんのこと、江戸もまた大僧正・天海による霊的な守護が施された都市計画となっています。わかりやすい例としては、作家・加門七海が『平将門魔方陣』で示した、神田明神や首塚を始めとする平将門ゆかりの地が配された北斗七星型の結界です。また、寛永寺と浅草寺、練馬の春日神社を頂点に複数の寺社をつなげた巨大な二等辺三角形の結界など、江戸は複数の結界で守られていました。
近年ではシンガポールの事例も。観光局が1972年に作ったマーライオン像は、ポンプが壊れて口から水がほとんど出なくなったこととや、目の前に橋がかかり力を遮られる格好になったことから、2002年により良い場所に移転しました。今では繁栄を表す東の方向に、金運の象徴である水を吐き出して富をもたらしています。シンガポールを代表する高級リゾートであるマリーナベイ・サンズやアジア最大の観覧車シンガポール・フライヤーも風水で富や幸運をもたらすよう設計されているとのこと。歴史上繁栄した都市には、見えない守護が働いているのです。

「連接領域」でつながった17の世界が舞台となる『サガ エメラルド ビヨンド』。こうした幾多の世界が同時に存在する状況はゲームの十八番……と思いきや、現実でも物理学の研究分野として盛んに考察されています。
スタンフォード大学の物理学者アンドレイ・リンデは、泡状の宇宙で小さな一点がインフレーションを起こして次々と「ベビーユニバース」として芽吹き、この発芽プロセスが永遠に続くという理論「カオス的インフレーション」を唱えました。これは、多数の宇宙が浮かぶ「多宇宙(マルチバース)」を説明する理論のひとつです。物理法則もなにもかもが異なる無数の宇宙が泡のように生み出され続ける、それは美しくも入り組んだ目くるめく世界観。
もうひとつ、アメリカの物理学者ヒュー・エヴェレットが唱えた「多世界解釈」は、量子力学において宇宙は無数に分岐していき、どれも等しく現実であり重なり合って存在しているという説。分岐した世界にいる者は他の世界に干渉することも、行くこともできません。しかしながら、それを可能にするのがゲームの魅力のひとつかもしれません。

【参考文献】
E.J.ホームヤード『錬金術の歴史 近代化学の起源』朝倉書店
加門七海『平将門魔方陣』河出文庫
加門七海『大江戸魔方陣』朝日文庫
藤木梨香子『はじめてのフライングスター風水』自由国民社
ミチオ・カク『パラレルワールド 11次元の宇宙から超空間へ』NHK出版
©スクウェア・エニックス
卯月鮎
ゲームコラムニスト・書評家。雑誌、Web等でゲームの紹介、書評を中心に活動する。著書に、ゲーム実況のはしりとも言われる『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)がある。
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