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感染症を媒介する蚊を、遺伝子を改変することで減らす技術が実用化している。しかし、このような技術の究極的な目標は、私たちを助けることにあるのではないのかもしれない――!
オキシテックというバイオ企業が開発した「遺伝子組み換え蚊」が、2021年に米フロリダとテキサスで“散布”された。そもそもは感染症を媒介するネッタイシマカの駆除が目的で開始されたプロジェクトだ。同社はオスの蚊に対して遺伝子組み換えを行い、メスの蚊の場合のみ作用する“致死遺伝子”を組み込む。そのオスが野生のメスと交配して生まれた子供世代のうち、メスはこの遺伝子の作用で幼虫のうちに死ぬ。オスは育って成虫となり、致死遺伝子を抱えたまま交配を繰り返すため、結果として野生のメスの絶対数が減る。
2022年3月には、EPA(アメリカ環境保護庁)がオキシテック社に対して“緊急使用許可”措置の2年間の延長を認めた。これまでも同様のプロジェクトでブラジルでは95%、イギリス領ケイマン諸島では80%の蚊を減らすことに成功している。蚊が媒体となる病気は近い将来なくなるかもしれない。

ここまでは聞こえのいい話だ。
しかし今年6月の最終週、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が国内で過去2か月のうちにマラリア感染を5例確認したと報告を行った。これは実に20年ぶりのことで、しかも4例は前述のフロリダとテキサスからの報告だ。
遺伝子組み換え蚊プロジェクトによって蚊が媒介する病気は減るはずではなかったか? 遺伝子組換え蚊の放出によって、一部の個体群の遺伝子に「雑種の強さ」がもたらされた可能性も指摘されているが、それだけなのか? いずれにしても、昆虫の遺伝子を改変することに対する底知れぬ不安感が市民の間に芽生える出来事だったといえる。
実は、DARPA(アメリカ国防高等研究局)は昆虫の生物兵器化プロジェクトを強力に推し進めているという話がある。このプロジェクトに関わっていたという科学者自身の口から、暴露に近い発言も飛び出している。
それによるとDARPAの構想は、敵地にウイルスに感染した大量の昆虫を放ち、特定の病気を自然発生としか思えない形で蔓延させる。こういう方法なら武器としての製造コストは必要ないし、大量殺戮兵器並みの効果も期待できるというのだ。

DARPAで「インセクト・アライズ・プログラム(昆虫同盟プログラム)」が開始されたのは2016年のこと。出発点は、昆虫を介してアメリカ国内の農産物に保護遺伝子を拡散する技術を開発することだったという。保護遺伝子によって守られれば、国内の食物生産量が上がり、食料自給率も上がる。
しかし、ドイツのマックス・プランク進化生物学研究所のリチャード・ガイ・リーブス博士は、前述のプログラムの“明かされていない部分”について当時から警鐘を鳴らしていた。DAPRAが目指しているのは、昆虫の武器化であるというのだ。
武器として使うためには、アメリカ国内で作物の保護のために打っている方策の正反対を行えばいいだけだ。植物がかかる病気のウィルスを持った昆虫を解き放てば、相手国の食糧自給率が著しく低下するのは時間の問題だ。さらには、たとえばイナゴのような昆虫を使えば草原を丸裸にすることもできるだろう。複数の昆虫を組み合わせて使えば、既存の植物をなくしながら次の世代が育たないように仕向けることもできる。
もちろんDARPAはリーブス博士のコメントをすべて否定している。インセクト・アライズ・プログラムの透明性も強調しているが、そもそも全体のうちどの程度が公開されているのかは当事者にしかわからない。

こうした背景がある中で、遺伝子組み換え蚊、さらにはフロリダとテキサスから報告された4例のマラリア感染に注目が集まることになったわけだ。いずれにせよ、昆虫の武器化はある程度まで進んでいると考えるのが正しいのではないだろうか。こう考えると、昨今盛んにプロモートされている“昆虫食”にも怪しい響きを感じてしまう。インセクト・アライズ・プログラムのような最先端研究では、技術面でも倫理面でも考えるべきことが多くなる。考えていくべきことが多くなるのは誰でも予想できるが、どこに向かっているのかについては、誰も知らない。
【参考】
https://nexusnewsfeed.com/article/climate-ecology/updates-on-the-gmo-mosquito-release/
宇佐和通
翻訳家、作家、都市伝説研究家。海外情報に通じ、並木伸一郎氏のバディとしてロズウェルをはじめ現地取材にも参加している。
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