未確認動物UMAの名づけ親 動物研究家 實吉 達郎/MUTube&特集紹介 2024年9月号
UMAをはじめ、動物、昆虫から妖怪、中国の古典に至るまで、さまざまな分野の著書を持つ實吉達郎氏、日本における動物研究に大きな影響を与えたレジェンドの実像を三上編集長がMUTubeで解説。
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「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
及川祥平 著
「空間を〈心霊スポット〉化する想像力」とは
この標題を見れば、だれもが心霊関係の本と思うだろうが、さにあらず。本書は、至極生真面目な民俗学の研究書、というより論文である。
心霊スポットに「恐ろしげな物語を想像する人間の営み」「そうした場所への興味関心を包摂する〈私たち〉の生きるこの世のあり方、世相のあり方」を考察することが本書の目的であり、まさしく本書は「民俗学の伝説研究を現代社会の現象にまで拡張する試み」なのだ。
著者の及川祥平氏は、少壮の民俗学者で、成城大学准教授。人神祭祀や偉人顕彰の研究を専らとする。
学術論文であるから、参考文献の取り扱いも極めて厳密であり、内容の信頼性はこの上ない。
そのように真摯な学問的姿勢で、かつて惨殺事件が起きたとされる場所や、「首なし地蔵」伝説で知られる八王子の「道了堂」、大手町の「将門塚」、怪異の頻発する「八王子城跡」、惨たらしい伝承を持つ山梨県の「おむつ塚」などが分析され、「空間を〈心霊スポット〉化する想像力」のメカニズムが炙り出される。これは、刺さる人には非常に刺さるだろう。
本書は、本誌読者のような人(心霊や怪異に関心のある人)が、民俗学の真髄に触れるための、好個の題材である。
何しろ著者によれば、民俗学とは「人びとが学問を通して自ら知り、自己内部や眼前の社会に存在する諸課題を解決するための学問」。これに触れぬ手はない。

(2023年10月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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