神代文字で100点満点! 4コマ漫画「オカルとおさん」
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かつて「UFOの飛行原理」として一世を風靡しながら忘れられていた技術が、ドローンに搭載されることで蘇った! 世界を一変させることになるか――!?
2022年3月、アメリカのベンチャーが、世界初の「イオンクラフト」を応用したドローンを発表した。同社は2024年には配送用ドローンとして商用化するとしている。
「イオンクラフト」と聞いてもピンとこない人が大半だろうが、これ、実はUFOの原理と言われ、一世を風靡した飛行原理なのだ。
UFOはどのように飛んでいるのか? 1970年代に「これがUFOの飛行原理だ!」と少年誌で紹介されたのが、「イオンクラフト」という聞き慣れない言葉だった。
イオンクラフトは電気で飛ぶ飛行機だ。しかし、空港で見る飛行機とは似ても似つかない形をしている。金属の輪に電線がくっついていて、その輪がふわふわと飛び上がるのだ。
構造は簡単だ。必要なのは、高圧電流の直流を流す電源とアルミホイルである。アルミホイルを輪にして直流電流を流す。アルミホイルと適当な距離を離して、もう一方の電極を置く。電極と電極の間の空気が、高電圧でイオン化し、電気を帯びた空気が一定方向へ噴き出す。イオン化した空気が電極に引きつけられて噴き出すことを、ビーフェルド-ブラウン効果という。イオンクラフトは、その勢いで浮き上がるのだ。
イオンクラフトは、高校生の科学クラブがブラウン管テレビの高電圧を電源に自作するレベルの単純さで、推力は極めて小さい。数グラムしかなく、アルミホイルの模型を浮かす程度しかできない。にもかかわらず、UFOの原理だとされたのはなぜか?
イオンクラフトは高電圧をかけるため、時折、放電が起きる。ようは光るわけだ。周囲の電子機器は影響を受けて狂うのでパソコンやスマホは近づけない方がいい。そしてその飛び方は、「飛ぶ」というよりも「浮く」なのだ。
飛行機もロケットも、推進力の方向に合わせてまっすぐ飛ぶ。ヘリコプターにしても、ふわふわと浮くという感じではない。ところがイオンクラフトは不安定に空中に浮きあがり、左右上下に好き勝手に飛び回るのだ。さらに大型のイオンクラフトは、空中で静止することもできる。
光って自由に空中で動き、強力な電磁波で電子機器に異常を起こすなんて、まるでUFOではないか。

イオンクラフトを日本に紹介した故・内田秀男博士(トランジスタの発明者である)は、真空容器の中でイオンクラフトを飛ばす実験を行い、真空中でも動いたことから、UFOは空気をイオン化させて飛ぶだけではなく、宇宙電界という宇宙にある電気の流れを推力に使うのではないかと仮定した。
のちに実験ミスで真空中で動いたように見えたことがわかっており、残念ながら宇宙空間では飛ばない。が、大気圏内でUFOそっくりの動きを見せるイオンクラフトは、当時はテレビに引っ張りだこだった。
しかもイオンクラフトは、揚力を使う飛行機、作用反作用で宇宙に飛び出すロケットに続く第三の飛行原理でもある。さまざまな可能性が考えられたが、あまりに推力が弱いために誰も本気で実用化できるとは思っていなかった。
ドローンやEVの普及によって、電池技術は飛躍的に進歩した。小型軽量ながら高密度の電源が登場したことで、イオンクラフトで推進するドローンが現実になったのだ。

テック系スタートアップのUndefined Technologies社が試作した「サイレントヴェントゥス」は、現状のプロペラ式ドローンに比べて圧倒的に静かだ。
現状のプロペラ式ドローンの騒音はとても市街地で利用できるものではなく、アメリカで複数立ち上がっているドローン配送業者と地域の軋轢を生んでいる。
商用ドローンのノイズは85~96dBに対して、市街地で許される騒音は50~70dBである。
未来の想像図で、AI搭載のドローンがビルの最上階まで荷物を運ぶというアイデアがよく紹介されるが、実用化の一番のネックが騒音なのだ。
イオンクラフトは空気が噴き出すシューシューという音はするものの、プロペラ式とは比較にならないほど静かだ。
同様の研究はマサチューセッツ工科大学などでも行われ、試作機が発表されているが、実用化まで射程に入れた開発は、Undefined Technologies社が初となる。
さらに、イオンクラフトに似た技術で「コアンダ効果」を利用した飛翔体も研究されている。コアンダ効果は曲面に流体が吸い付けられる特性のことで、細く流す水道水に指を近づけると指に水が吸い寄せられることで、簡単に確認できる。コアンダ効果を利用した飛行体は、機体のフォルムから揚力を生み出すため、UFOのような円盤状をしている。それによりドローンをより少ない推力で飛ばすことができ、騒音を抑えることができるのだ。
イオンクラフトにしてもコアンダ効果にしても、これまで実用性を疑問視されていた技術が、ドローンというニーズができたことで現実のものになったわけだ。
技術は、それにふさわしい器があって初めてこの世に生まれてくるのだろう。イオンクラフトに限らず、たくさんの技術が、自分たちが収まるべき器を待っているに違いない。
久野友萬(ひさのゆーまん)
サイエンスライター。1966年生まれ。富山大学理学部卒。企業取材からコラム、科学解説まで、科学をテーマに幅広く扱う。
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