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「彼らはイエスの遺体を受け取り、ユダヤ人の埋葬の習慣に従い、香料を添えて亜麻布で包んだ。イエスが十字架につけられた所には園があり、そこには、だれもまだ葬られたことのない新しい墓があった。その日はユダヤ人の準備の日であり、この墓が近かったので、そこにイエスを納めた」(「ヨハネによる福音書」第19章40〜42節/新共同訳)
イエスが十字架につけられた場所、いわゆるゴルゴタの丘のすぐ近くに、イエスの「遺体」が納められた墓があった。『聖書』はそう記している。
この場所が、今回紹介する聖墳墓教会だ。
キリストの墓といえば青森県新郷村も有名だが、『聖書』の記述に基づけばこちらが正式な場所、ということになる。
聖墳墓教会は、ユダヤ教、キリスト教、そしてイスラム教の聖地であるエルサレムの旧市街にある。世界遺産にも登録されており、宗教的に4つの区域(イスラム教徒地区、キリスト教徒地区、ユダヤ教徒地区、アルメニア人地区)に分かれている。
聖墳墓教会はこのうちキリスト教徒地区にあり、隣接するイスラム教徒地区からは、イエスが十字架を背負って歩いたという「悲しみの道」が、同教会まで続いている。
その道中には、イエスが十字架の重みでつまずいた場所、聖母マリアの姿を人ごみに見つけた場所、イエスが手を突いた壁などがあり、熱心なキリスト教巡礼者が途絶えることはない。
教会内に入ると、かつてゴルゴタの丘だったとされる場所の頭頂部を見ることができるし、イエスの遺体を横たえ、埋葬のために油を注いだ石板もある。そして中央のドームには、埋葬の3日後にイエスが復活を遂げた「墓」が存在するのだ。
聖墳墓教会は基本的に無休で、1年中公開されている。
また旧市街には、ほかにもイスラム教の岩のドーム、ユダヤ教の嘆きの壁、ダビデの塔など、歴史的・宗教的文化財が目白押しだ。
ちなみに現在、パレスチナ国家(パレスチナ自治政府)は東エルサレム(旧市街)を首都と見なしているが、実際にはイスラエルの支配下にある。そういった複雑な政治的背景にも注意が必要だろうう。




(月刊ムー 2024年11月号掲載)
中村友紀
「ムー」制作に35年以上かかわるベテラン編集記者。「地球の歩き方ムー」にもムー側のメインライターとして参加。
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