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戦後にアルゼンチンが保有したインテリジェンスは、ナチスの技術とUFO情報だった?
前編では、南米諸国発のUFO情報のアメリカへの流通メカニズムの構築について触れた。この後半では、それが第二次世界大戦後から現在までのアメリカにおけるUFO研究プログラムに与えた影響を見ていきたい。
前編の冒頭で紹介した『ワシントン・ポスト』紙の記事の内容のとおり、アメリカにはUFO情報の開示という概念は存在しなかった。第二次世界大戦直後に確立され、冷戦時代とそれ以降の時代も連綿と続いてきた南米UFO情報も、完全に管理されていたのだろう。
そしてアメリカ政府は、ペーパークリップによってナチス・ドイツの内部情報についても質量ともに充実させ、大きなアクションを起こした。1946年から1947年にかけて実施されたハイジャンプ作戦だ。
表向きは南極大陸の資源調査だったこの作戦は、裏の目的が中核だった。元ナチスのドイツ人科学者を経由して伝わったナチスの極秘南極基地の探索だ。ハイジャンプ作戦は、アメリカ政府が南米諸国から積極的に収集していたUFO情報の成果として実現したのではないだろうか。

第二次世界大戦終結当時の南米大陸は、ナチスの科学研究部門の残党にとって、活動を続けるための理想的な条件がそろった場所だったかもしれない。南極大陸とナチス・ドイツの深い関連性を語る仮説も数多く存在する。もう一歩踏み込んで考えれば、南極に地理的に近く、ナチスの高官が数多く潜伏している可能性が高かったアルゼンチンの存在感が一気に高まった時期があったのではないだろうか。
その背景となる条件もある。第二次世界大戦後、多くのナチス戦犯と、フランスやクロアチア、ベルギーなどヨーロッパ各国のナチス協力者が、ニュルンベルク裁判から逃れるため新しい棲み処を探していた。アルゼンチンは、こうした人々を進んで迎え入れた。フアン・ドミンゴ・ペロン政権はヨーロッパ全土にわたるネットワークを構築し、パスポートを準備し、渡航費まで立て替えるケースもあったといわれている。戦犯の受け入れが外貨獲得につながったからだ。裕福なドイツ人やドイツにルーツを持つアルゼンチンのビジネスマンが、ユダヤ人から奪取した大量の金品を保有するナチス戦犯の逃亡を助けたとされている。ナチス関係者—特に科学技術部門関係者—にとって、南極に近いアルゼンチンは地理的にも地政学的にも最高のロケーションだったのだ。

ならば、親ナチス的国家だったアルゼンチンがアメリカに協力し始めた理由はなにか? これに関して絶対的要因をひとつに絞ることはできないが、時代の趨勢と情報の価値の変化はあるだろう。世界的な反ナチス思想の盛り上がりと戦後の世界秩序構築を目の当たりにしたアルゼンチンは、国家としてのサバイバルを意識せざるを得なくなった。スタンス変更を表明する交渉カードとなったのが、南極基地も含めたナチスのUFOテクノロジー情報ではなかったか。
これは憶測の域を出ない話だが、UFO情報の提供は少なくとも対米政策において大きなプラス要因となったはずだ。戦後西側社会のリーダーとなったアメリカとの関係は良好に保っておくに越したことはない。ブラジルをはじめとする南米各国も、アルゼンチンの対米政策に倣ったのではないだろうか。
南米発のUFO情報を得やすくなった状態を保ち続けたアメリカは、最近になってUFO/UAP研究の先陣を切っていることを自負し、そういう国家としてのイメージも意識しているようにも思える。だからこそ、議会主催の公聴会というアクロバティックな行動に出たとも考えられる。
ただ、UFO/UAP情報の開示派と秘密保持派の溝はいまだに際立っている。NASAと国防省の関係を見ても、AAROの局長を務めていたショーン・カークパトリックが左遷されるなど、両派の対決機軸が明確化している。今のアメリカでは、UFO/UAP情報を核とする全く新しいタイプのポリティカル・ゲームが展開されているのかもしれない。
UFO情報に限っていうなら、現代アメリカのトレンドは、70年代から続いてきた南米諸国のメンタリティに重なりつつあると感じられる。UFO公聴会で生まれた既存情報を積極的に開示しようという流れは、日々大きくなっている。2024年は、文字通りこれまででは考えられなかった決定的な情報が公開される可能性が高いと思っている。
宇佐和通
翻訳家、作家、都市伝説研究家。海外情報に通じ、並木伸一郎氏のバディとしてロズウェルをはじめ現地取材にも参加している。
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