天狗にさらわれて帰ってきた! カッコいい女の子とダメな男/妖怪補遺々々
人が忽然と消える神隠しの一種、天狗隠し。そこから帰ってきた人、連れ去られる直前だった人のお話ーー ホラー小説家にして屈指の妖怪研究家・黒史郎が、記録には残されながらも人々から“忘れ去られた妖怪”を発掘
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「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
尾上哲治 著
地質学を駆使した、著者独自の絶滅論
今から2億150万年前、というから想像を絶する大昔のことだが、「三畳紀」の末期に当たるこの時代に、生物種の「大量絶滅」が起こった。短期間のうちに(とはいっても300万年未満という地質学的スケール)、生物種の80パーセントが姿を消したというのだ。
このような大量絶滅は過去に5回起っているが(「ビッグファイブ」と呼ばれる)、中でもこの三畳紀末の絶滅は「広範囲に分布し、個体数の多い分類群」の絶滅割合がとりわけ高いという。
著者は、現在の地球の状況をビッグファイブに匹敵する大異変とまではとらえていないようである。
本書は、「三畳紀末大量絶滅」の探究を通じて、大量絶滅のメカニズムを明らかにしようとする試み。内容はかなりハードで、専門用語なども頻出するが、決して学問一辺倒ではない。
むしろ地質学を駆使した、二転三転する冒険推理小説の趣がある。その果てに、「これまで提案されてきたどの理論とも異なる」著者独自の絶滅論が開陳されるのだ。
著者の尾上哲治氏は地質学者で、特に「層序学」と呼ばれる学問の専門家である。層序学とは「地相の積み重なりや広がり、そして各層にふくまれる化石から、過去の地球環境を解読する」学問。本書を読めば、この学問の追究は世界を股にかける、文字通り命懸けの仕事であることが痛感される。

(月刊ムー 2024年2月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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