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「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
尾形希和子 著
護符やお守について、今一度考えてみる試み
著者によれば本書は「21世紀の現代においても、パンデミックに直面した人間が護符やまじないに頼るという現象に注目して、癒しや救いの希求として営々と続けられてきた呪術的世界の一端である護符やお守について今一度考えてみようとする試み」である。
といっても、あまりに専門的に過ぎるものではない。元来が、大学の一般向けのアートレクチャーであったということで、学識はあふれかえっていながらも、極めて読みやすい文体とも相まって、どなたにも楽しく読める、至極のエッセイ集に仕上がっている。評者のような往年の澁澤龍彦ファンにとっては、まさに垂涎の書といってよいだろう。
角や石、赤い色、薬草、目、結び目、性器、聖人等々、さまざまな素材の護符が採り上げられ、その験力の秘密が縷々明かされる。とくに順番などはないので、自分の好きな題材から自由に読んでいけるのも嬉しい。そのように楽しく読んでいくうちに、人間の営みの本質が「象徴作用」にあることを再認識させられる。
著者の尾形希和子氏は、ブリュッセル自由大学で博士号を取得した美術史家で、専門は西洋中世美術。現在は、沖縄県立芸術大学教授を務める。版元は、ここの本を買っておけばまず間違いのない、良心的出版社である八坂書房である。まさに万人にお奨めできる良書。カラー図版が多数収録されているのも、魅力のひとつだ。

(2023年10月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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