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「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
アントン・ツァイリンガー 著 大栗博司 監修
素人にも親しみやすく「量子もつれ」を説明
本書の著者である、量子物理学者アントン・ツァイリンガー教授は、2022年度のノーベル物理学賞受賞者である。受賞事由は「量子もつれ状態の光子を用いた実験によるベルの不等式の破れの実証と、量子情報科学における先駆的研究」。
もうこの事由だけで、素人には何をいっているのかサッパリであるが、ともかくそんな雲上人が、われわれ一般人のために、自らの専門分野についてやさしく説き明かす本を書いてくれたのだから、それだけでも僥倖である。しかも部分的に小説のような構成が採り入れられ、数式などもいっさい出てこないから、とくに文系の人にはおすすめである。
量子物理学を志すふたりの学生「アリス」と「ボブ」、そしてその指導に当たる「クォンティンガー教授」。これは著者名ツァイリンガーと、「量子」を意味するquantumの合成語らしい。もうこれだけで、本書がいかに親しみやすく書かれているかが、うかがいしれよう。
教授は単に教えるばかりではない。ふたりに、実際に量子の特性を明らかにするためのさまざまな実験に、ガンガン取り組ませるのだ。
何しろ著者自身、世界で初めて量子テレポーテーションの実験に成功した人物であり、この実験描写はともかくリアル。文系の素人でも、実際に自ら実験に参加し、そして「量子もつれ」をわかったような気になることができる。万人必読の名著である。

(2023年8月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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