インドで突き付けられた己の「カルマ」とは? 呂布カルマ「人生の旅」前編・混沌のデリー
「カルマ」を名にし負うラッパー、呂布カルマがインドで自己を探求する「人生の旅」にムーが同行。ときに暴力的な現実を肯定する社会システムに圧倒されつつ、輪廻や解脱というヒンドゥー4000年の問いを、呂布カ
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江戸怪談集「本所七不思議」がホラーアドベンチャーになる……。古典怪談と蘇りの呪術を結びつけるのは、北斗七星か?
「本所七不思議」を主題に掲げた『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』とは、その名の通り東京都墨田区は本所を舞台に、“死者蘇生”を願う登場人物たちによる“呪い合い”が行われる群像ホラーミステリー・アドベンチャーゲームである。
「本所七不思議」は、江戸時代から墨田区に伝わる怪奇譚の総称(じつは細かく見ると9つ以上あったりすることでも知られる)。
かの有名な釣り場で釣った魚を「おいてけ」と言われる「置いてけ堀」。屋敷の天井をぶち抜く巨大な足を洗えと脅す「足洗い屋敷」。どこからともなくお囃子が聞こえるが姿はない「馬鹿囃子(狸囃子)」……などの有名な怪異を始め、なぜか消えないでともり続ける行燈を見たものは不幸になる「消えずの行燈」や、逆に灯りがないそばの屋台と出くわすとやはり不幸になるという「燈無蕎麦」。立派な椎の木だが落葉が一切ない「落葉なき椎」や、火事の際に火の見やぐらでどうしてか太鼓が鳴らされる「津軽の太鼓」といった、日常の中で垣間見える奇譚群。さらには、橋の上で片手片足を斬られて殺された女の恨みで、川沿いには葉が片方だけしかない葦が茂る「片葉の葦」といった猟奇的なエピソードなど、これら墨田区は本所界隈にいまも伝承されている。



どこか緩い不思議話ばかりが集まったせいなのか、それこそ江戸時代よりこの「本所七不思議」は、落語から怪談までエンターテインメントの題材となって大いに庶民を楽しませてきた。それが令和の時代になって、再び日本古来のエンタメが現代のゲームという最新の娯楽媒体でも蘇るのだから感慨深いところ。
しかし本作の設定は、緩い不思議話ではなく、現代人が忘れ去った“呪術”の気配が濃厚に漂う、ミステリアスで鬼気迫るムードを纏った佇まいを見せている。
本作で墨田区を逍遥する登場人物たちは、ほぼ全員が何かしらの“死”と関連しており、縁の深い死者を“蘇らせ”ようとしている。加えて彼らは、“本所七不思議”を“呪い”としてそれぞれが所持しており、その呪力で他者を“呪殺”する方法を得ているというのである。たとえばどうやら、“置いてけ堀”の呪いの場合は、“怨敵が立ち去ろうとする”行為を条件として発動、呪い殺すことができるようだ。おそらく、ほかの七不思議の呪いも、それぞれの怪異譚にちなんだ条件をトリガーとして呪殺できる能力を持つ呪物なのではないだろうか。



各人は本所に隠された“蘇りの秘術”を行使したいと行動するため、群像劇のように本所を舞台とした恐るべき呪い合いバトルロワイヤルが行われるようだ。それにしても、死者を蘇生させたいと願うものたちが、他者を呪い殺さんとするとは対照的で皮肉に感じるところかもしれない。だが、“陽”の生と“陰”の死は表裏一体であり、平安の昔に活躍した呪いのエキスパートである陰陽師・安倍晴明は、陰陽道の主神に中国は道教の“泰山府君”を据えて“泰山府君祭”を執り行い、実際に“死者蘇生”を実現したとされているのだから。
しかし死者蘇生の舞台が「なぜ墨田区は本所の七不思議なのか?」との疑問も沸き起こるが、ちょうど七不思議のひとつである「送り拍子木」の伝承地のすぐ近くには、東京で唯一の能勢妙見山別院がある地でもある。
妙見信仰といえば神格化された北極星や北斗七星を祀るものだが、この北極星と北斗七星こそは、陰陽道の源流である道教では、最高神“天皇大帝”だと考えられた。そしてこの天皇大帝の孫とされるのが、冥界神“東岳大帝”こと“泰山府君”なのである――もしかすると、北極星と北斗七星の“七”という数字の符号には、本所“七”不思議の呪術による死者蘇生の儀礼と関連があるのではないか。
『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』のメインビジュアルを見てみると、呪い合う登場人物たちや不気味な人形のような少女のほかに、“本所七不思議”の意匠を凝らした“根付”のようなものが描かれている。その数は8つある模様(本作には9人の登場人物がいるようなので9つの呪物が存在しているのかもしれない)で、それぞれがうっすらと紫色のオーラを放っている。
ちなみに紫色は、中国道教で北極星と北斗七星を示す“天皇大帝”が坐す宮殿の色で、平安京の紫宸殿の名の由来ともなっていたりと、本作のデザイン面からも、眺めているだけでいろいろと想像が膨らんでしまうというもの。
暖かくなってくる時期の3月9日発売となる本作。Nintendo Switchやスマホなら気軽に持ち運んで楽しめるだろうから、ひとつ墨田は本所まで足を延ばして聖地巡礼しつつプレイして、“本所七不思議”の呪術について思いを馳せるのも一興かも(現代では、灯りのついた旨い蕎麦屋もたくさんあることだし)

スクウェア・エニックス
Nintendo Switch 、PC(Steam)、iOS、Android
税込価格1980円 (iOS、Android版は税込1900円)
© 2023 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
公式サイト https://www.jp.square-enix.com/paranormasight/
墨田区本所に伝わる「本所七不思議」をモチーフにしたこのゲームの公開にあわせ、ムー監修の小冊子「本所七不思議探索地図 令和版」が墨田区内にて配布中だ。
七不思議の概要や、探索用マップ、探索の心得などが記されたこの冊子を手に七不思議巡りにチャレンジしてほしい。どこからか聞こえてくる無気味な声、決して追いつけない明滅するあかり……江戸時代、本所の街の発展にあわせていい伝えられるよ
うになった数々の不思議が、令和の今、数百年の時を超えてあなたに襲いかかるかもしれない。


配布場所
・両国観光案内所(墨田区横網1-30-20)
・観光プロモーションカー「すみーくる」
https://visit-sumida.jp/about/promotion-car/
・街あるき案内処(出店場所については墨田区観光協会HPで)
https://visit-sumida.jp/about/information/
・スクウェア・エニックスカフェ 東京(千代田区神田佐久間町1-6-1 秋葉原東西自由通路)
・ARTNIA-アルトニア(新宿区新宿6-27-30 新宿イーストサイドスクエア1F)
※ 各所において用意した部数が無くなり次第、配布は終了
すみだ観光サイト▶︎https://visit-sumida.jp/
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