現代社会に渦巻く「呪い」を跳ね返す!/LUAの「ブラックオニキス−開運と魔除けの呪術」(1)
漆黒に輝くブラックオニキスは、古代ローマをはじめインドやペルシアなど、各地で魔除けの石として用いられてきました。古今東西の「呪い」と、その解除法について研究を重ねているLUA氏が、本誌11月号の特別付
記事を読む

メキシコの首都メキシコシティ近郊に、髑髏の巨像が聳え立つ。 この巨像は、一般家庭から裏社会の住人まで、広く信仰される〝死の聖母〟サンタ・ムエルテの姿だ。 新しい年を迎える祝祭の日に、巨像の足元へ向かった。 (ムー 2018年7月号掲載)
メキシコシティの郊外、メヒコ州トゥルティトランの大通り沿いには、スーパーなどが並ぶ周辺環境の中で異端すぎる、背の高い黒衣の骸骨が両腕を広げて立っている。不吉な姿はどう見ても死に神そのものだが、これこそ世界最大の“サンタ・ムエルテ”像なのである。

サンタ・ムエルテは近年、急激に勢力を拡大するメキシコのカルト宗教である。その名はスペイン語で「死の聖母」を意味し、主に女性用の衣装で着飾り、大鎌を持った骸骨が崇拝の対象となっている。
死を擬人化したこの奇怪な聖人は、犯罪行為さえ含むどんな願いにもご利益をもたらすと信じられ、20世紀までは各家庭内で密かに崇められる存在だった。
一説に刑務所や麻薬カルテルから広まり、先住民の土着信仰とカトリックが融合した民間信仰とされるが、バチカンは「神を冒瀆する偽の宗教」と非難している。しかし、今なお続く麻薬戦争の影響で殺人事件が頻発するなど、死が身近な社会から救いを求める貧困層を中心に、現在約300万人まで信者数を増やしているという。
骸骨聖母を祀る教会や祠は各地にあるようだが、今回訪れたのは同信仰の拠点のひとつ、「サンタ・ムエルテ国際寺院」だ。

2018年元日の、午後2時。遅めの開門と同時に、筆者は大勢の信者たちに紛れて境内へ入った。教会のはずだが、建物の看板や壁面には凶悪そうな骸骨、またはマヤ文明の装飾の絵などが派手に描かれ、若干ロックフェスか何かの会場のようである。
境内中央には、外から見えた高さ約22メートルのサンタ・ムエルテ像が佇み、新年のおめでたい気分も吹き飛ぶ強烈なインパクトを放っている。
2007年にこの巨像を建てた寺の元主ジョナサン・レガリア・バルガスは、パンサー司令官の愛称で親しまれる同地域のカリスマ指導者だったが、翌年の深夜に愛車で帰宅中、犯罪グループの銃撃により殺害された。そのため、現在この寺は彼の母親エンリケータが管理し、周辺の信者たちを束ねているようだ。
この巨像の他にも、境内各所の祭壇や祠には、大小さまざまなサンタ・ムエルテ像がズラッと安置されている。陽気なお国柄だけあって、無気味なはずの骸骨もドレスアップしてたくさん並ぶと、パーティーみたいな楽しげな雰囲気すら漂う。まさに映画『リメンバー・ミー』の世界だ。
ところが、新年の儀式が始まると空気は一変する。
巨像の前に信者全員が整列し、ひたすら祈りを捧げる厳粛な場と化した。
教祖のごとくエンリケータが叫ぶ言葉を、老若男女が復唱しつづける光景は妙に鬼気迫るものがあり、巨像がまるでドルイド教のウィッカーマンのように思えてゾッとしたくらいである(別の場所だが実際、過去に生け贄として複数人が殺害される事件も発生している)。
信者に囲まれ、教会の最奥部で身動きがとれなくなった筆者も、スペイン語の祈りっぽい感じに口をモゴモゴ動かし、どうにか30分ほどやり過ごした。
この儀式は一向に終わる気配がなく、筆者はやむを得ず、途中で退席させていただいたが、彼らの祈りや交流は、この後も延々と続けられたようだ。メキシコのみならず中南米全域で存在感を強める、死の聖母サンタ・ムエルテ。人々の生活に根づいた、リアルな信仰の風景を垣間見た気がする。なかなかディープな初詣だった。


影市マオ
B級冒険オカルトサイト「超魔界帝国の逆襲」管理人。別名・大魔王。超常現象や心霊・珍スポット、奇祭などを現場リサーチしている。
関連記事
現代社会に渦巻く「呪い」を跳ね返す!/LUAの「ブラックオニキス−開運と魔除けの呪術」(1)
漆黒に輝くブラックオニキスは、古代ローマをはじめインドやペルシアなど、各地で魔除けの石として用いられてきました。古今東西の「呪い」と、その解除法について研究を重ねているLUA氏が、本誌11月号の特別付
記事を読む
世界の転生思想ーー「生まれ変わり」と「前世の記憶」の基礎知識/世界ミステリー入門
世の中には、前世の記憶や、生前に負った傷跡に対応するあざなどを持つ人々が存在する。「生まれ変わり」や「転生」と呼ばれるこの現象は、活仏ダライ・ラマや聖者サイババに代表されるように、世界中で多くの事例が
記事を読む
自他治癒力が向上する「気療エクササイズ」とペットを癒すコツ/神沢瑞至の「気療ヒーリング」
「気療ハンド」を振るだけで獰猛な動物を眠らせ、これまでに数万人以上の人々を癒してきた神沢瑞至氏。今回は、「気療ハンド」による簡単なエクササイズとペットへのヒーリングを紹介する。
記事を読む
地獄の恐ろしさを伝える圧巻のコンクリート像! タイ「地獄寺」の表現から仏教世界を見る(1)
タイ地獄寺の研究者が、仏教美術の視点で「地獄」描写を解説。ショッキングなコンクリート像を産んだ文化的背景とは? (ムー2017年8月号掲載記事に、一部加筆修正)
記事を読む
おすすめ記事