因幡の白兎はツクヨミだった! 八頭町・白兎神社に隠された不老不死の秘薬伝説/高橋御山人
「因幡の白兎」神話の地を訪れると、ツクヨミと重なる白兎の神格が明らかになった。月と兎、そして霊薬を結ぶ神話を考察する。
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月明かりの下で活動する夜行性の部族「月眼人」とは――。ネイティブアメリカンよりも先に北アメリカ大陸にいたのは「月の眼を持つ人々」であったという。
米ニューヨーク州からミシシッピ州まで伸びるアパラチア山脈周辺、アパラチア地方の先住民族であるチェロキー族の伝承には、彼らよりも先にそこにいた「月の眼を持つ人々」である“月眼人(Moon-eyed people)”についてのストーリーがある。
月眼人はきわめて小柄で、男性はひげを生やし、平らな顔で青白く、大きな青い目をした人々であると描写されている。月眼人はこの地域の多くの洞窟に住み、夜しか外に出てこない。彼らの青い目には日の光が強すぎるからである。
この月眼人の物語は、何世紀にもわたり地元民や観光客を魅了すると共に疑惑を深めてきた。いくつかの伝説によると、チェロキー族と月眼人との間で戦いが繰り広げられたが、夜間しか行動できない月眼人はあえなく敗れ、この地から追い出されたという。
フォートマウンテン州立公園の公園管理者、エマニュエル・スチュワート氏によると、一部の人々はここフォートマウンテンこそが月眼人のかつての拠点であったと確信しているということだ。
ノースカロライナ州マーフィーにある「チェロキー郡歴史博物館」では、1840年代にフェリックス・アシュリーという農夫によって発見された人物像が展示されている。大きな三日月型の目をもつ2人が結合したような高さ90センチほどの像だが、一説によると、これこそ月眼人をモデルにしたものであるという。
また、1882年のアメリカ先住民の新聞「チェロキー・フェニックス」の記事によると、テネシー州の町スパルタの近くで、極端に小柄な人々の「3つの埋葬地」が発見されたという。一部の人々は、石棺に埋葬されたのは月眼人であると主張しているのだ。
また、月眼人の物語を探求してきたブランドン・シェクスネイダー氏は、ポッドキャスト番組「Southern Gothic」で、月眼人に関する最も古い言及はチェロキー族の資料ではなく、白人入植者であると指摘する。1797年の書籍『New Views of the Origin of the Tribes and Nations of America(アメリカの部族と国家の起源に関する新しい見解)』には、チェロキー族が月眼人を追放したことが記されており、1823年の『The Natural and Aboriginal History of Tennessee(テネシーの自然と先住民族の歴史)』や、1888年に出版されたジェームズ・ムーニーの『Myths of the Cherokee(チェロキーの神話)』にも同様の記述があるとのことだ。
初期の白人入植者たちはチェロキー族の伝説に魅了され、月眼人が誰だったのかを推測した。現在のパナマにあったという伝説のアルビノのコミュニティの子孫である可能性や、12世紀に現在のアラバマ州モービル付近に上陸した可能性が囁かれているウェールズの王子マドックの子孫だとする説もある。
ちなみに、18世紀にウェールズの人々がアパラチア地方に入植し、チェロキー族との緊張が高まったのだが、マドック王子の物語はウェールズ人の入植の正統性を裏付けるために利用されているのではないかという指摘もあるようだ。
また、テネシー州の初代知事ジョン・セビアは、1801年にチェロキー族の指導者オコノストタからチェロキー族と月眼人との間の戦争の物語を聞いたと語っている。
1998年刊『Secrets and Mysteries of the Cherokee Little People(チェロキーの小さな人々の秘密と謎)』では、著者のリン・キン・ロシアが“小さな人々”についてヨーロッパにおけるエルフやノームと似た特徴を持っていると言及している。
いずれにしてもアパラチア地方の月眼人や、小さな人々たちの伝説は今日まで続いており、前出のシェクスネイダー氏は「彼らは実は宇宙人だと言う人もいます」と語る。
いわゆる「古代宇宙飛行士説」ということになるが、古代のエイリアンがアパラチア地方を訪れていたのだろうか。シェクスナイダー氏は「私たちは、自分たちが住んでいる場所について意外なほど何も知らないことを物語っています」と指摘し、まだまだ本件には探究の余地があることを示唆している。はたして、アパラチアの月眼人について今後新たな展開が待っているのか気に留めておきたい。
【参考】
https://www.atlasobscura.com/articles/moon-eyed-people-appalachia
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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