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南洋に伝わる、小さきものの神話。それは伝説のムー大陸と、消えた古代人類を結ぶ存在かもしれない。
太平洋に浮かぶ島々に共通して伝えられる伝説をご存じだろうか。
それは人の背丈の半分にも満たない程小柄でありながら、卓越した技術と不思議な能力を持つ小柄な人々の伝説である。ハワイ諸島では「メネフネ」として知られている。
ポリネシアのみならずメラネシア、ミクロネシアでも小柄な人々にまつわる神話、伝承は存在する。
ここでは総称して「メネフネ」と呼ぶが、彼らは総じて、大きな目に豊かな髪、筋肉質のがっしりとした身体をしており、木や石の加工が得意とされる。そしてその性格はというと、気まぐれで、普段は人目につかない森の奥深くで生活しているそうだ。


近海とはいえ、異なる文化を持つ島々に共通するこびと伝説――この謎の答えをハワイ神話学者のジョン・リドゲード氏はこう提唱している。それは、上述した地域はその昔大洪水によって海に沈んだ幻の大陸「ムー」の欠片であり、メネフネはその末裔である、というものだ。
リドゲードは古代のハワイ神話『クムリポ』を紐解いていくなかで、神話に登場する幻の島「クアイヘラニ」こそがムー大陸であると述べている。氏によると、クアイヘラニはハワイの西にあり、神々の住処の真下にある島だったという。そこはハワイから遠く離れたサモアやフィジーまで繋ぐ大陸で、高度な文明が栄えていたがある日起きた大洪水により海の底へと沈んでしまったそうだ。そしてこびと族「メネフネ」は、クアイヘラニの大洪水を生き延びた3民族のうちのひとつなのだという。
事実リドゲードは神話を元に近海の島々を調査したところ、数々の謎めいた古代建造物を発見。そこにはある共通した特徴があったそうだ。
それは「巨石」である。
リドゲードは、どこも大きな石を加工する技術が見られたことから、これらは同じルーツを持った文明の痕跡であるとし、ハワイ神話の「クアイヘラニ」が幻の大陸「ムー」を指していると主張しているのだ。

もしこれが事実だとすれば、こびと族「メネフネ」は、かつてのムー大陸で暮らしていた民族となり、この地域の遺跡はムー文化を継承していることになるだろう。だが、この説は突飛なようにも聞こえるが、その裏でリドゲード説を支持する学者は少なくないようだ。

リドゲード説を後押ししているのが、世界各地で伝えられるこびと伝説である。
日本では、海の彼方にある常世の国から光輝き渡ってきたというこびと神・少彦名命(すくなひこなのみこと)が広く知られているが、中国でも古代の神話や地理をまとめた『山海経』には「遠い東の果てにある海の島で暮らすこびと」についての記述が残されている。
これらがメネフネのようなこびと族の実在を証明するものではない。だが、インドネシア・フローレス島や台湾では、実際に小柄な成人の骨が発見されていることから、遙か遠い昔、我々の知り得ぬ民族が存在していた可能性も多いにあるだろう。
『失われたムー大陸』の著者として知られるチャーチワードが提唱した「ムー大陸」の説はあまりにも有名である。科学的見地からは太平洋に巨大な大陸が存在した証拠は認められていないが、リドゲードの主張通り、太平洋に浮かぶ島々がムー大陸の欠片だとしたら、不思議な力を持つ小柄な民族はどこかに存在していたのかもしれない。
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