「毒電波」事件は本当にあった!? 世間を揺らす流言飛語が妖怪と化す!/黒史郎・妖怪補遺々々
世の中が混乱しているときには、嘘か誠かこれでもか、というほどに流言飛語が飛び交います。それは近年に限ったことでは、もちろんないわけで……過去に語られ巷を騒がせた、不穏無気味で不思議な噂話の数々を補遺々
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ミステリー分野で世界的な知名度を誇る伝説的ライター、ブレント・スワンサーがついに『ムー』に登場!! 日本人がまだ知らない世界の謎について語る!
洞窟とは生来不気味な場所であり、怪奇譚が生まれやすい場所ではないだろうか。洞窟には、薄暗い中で神秘の濁流に迷い込むような雰囲気がある。それが、不思議な生き物や超常現象などの奇妙な物語を生むのだろう。
アメリカのミズーリ州には少なくとも7,500の洞窟があり、しばしば「洞窟の州」と呼ばれる。人々はそれらの洞窟に「未知の世界へと続くトンネルなのではないか」という不気味なイメージを抱いているため、多くの怪奇現象や怪物の伝説が次々と生まれるのも当然かもしれない。洞窟の中に潜んでいる「青白い人型の生物」が、じめじめした隠れ家から出てきて、周辺数キロの田園地帯を恐怖に陥れるというエピソードもその中の一つだ。

ネイティブ・アメリカンやヨーロッパの探検家たちは、洞窟を棲家としながら動物、魚、コウモリを食べて生きる人間によく似た種族について、長い間語ってきた。ミズーリの洞窟に生息する、このような存在が最初に報告されたのはアメリカ南北戦争時代のこと。北軍の兵士が、月明かりに照らされて輝くアラバスター色の皮膚をもつ、奇妙な生き物を描写していた。続いて1898年の報告では、地元の居酒屋の主人が、町近くの樹林帯をうろつく同じような生き物を目撃している。
さらに有名な話は1926年のことだ。とある農夫が、夏の夜に水場近くで眠りこけて目を覚ますと、人のような大きさで病的なほど白い肌をもち、毛のない獣が近くにうずくまっていたという。彼は、その獣が自分を追いかけてきているように思えたので声をかけると、獣は脱兎のごとく逃げ、夜の闇へと消えてしまったという。奇怪な報告は当時の新聞を賑わせ、怯えた民衆はこの未確認生物を 「洞窟を這うもの」と呼ぶようになった。
農夫の報告以来、長年にわたり多くの目撃談が寄せられるようになった。その中でも特に不気味だったのが、ミズーリ州カムデン・カウンティで起こったとされる事件である。それは1931年の夏、不吉な事件が立て続けに発生したことから始まる。

最初は小さな異変だった。ある農家が夜中に目を覚ますと、馬や家畜が理由もなくパニックになっているのを見つけたり、奇妙な足跡が見つかったり、夜中に何かがぶつかり合う音が聞こえたりした。どれも不気味ではあったが、害はないように思えた。しかし、この状況は大きく変わっていく。
やがて、牧場主たちが自分の土地で切断された牛、豚、馬の死骸を発見するようになる。これらの死骸は通常、切り傷だらけで原型を留めない状態になっており、時には半分食べられていたり、臓器が失われていることもあった。家畜の変死は急増し、一晩に数頭を失ったという農家もあった。何者かが墓をひっくり返し、土に爪を立てて死体を引きずり出したという目撃証言もあり、一帯はパニックに陥るとともに、人々は夜な夜な家の中で震えていた。
動物が襲われたり、姿を消したりする事件は一向に収まらず、村の男たちは結束して、獰猛な野生動物と思われる“それ”を追跡したが、結局のところ捕獲や駆除には至らなかった。

なお、地元の言い伝えでは、バグネル・ダムの建設時に低地を氾濫させたとき、そこにいた「洞窟を這うもの」のほとんどは死ぬか、高台の洞窟にたどり着いたとされていた。また、すでに他界していたダム管理人メアリーの息子で、あまり人付き合いのなかった中年男性サイラス・クロウラーは、人間と「洞窟を這うもの」の間に生まれたという噂もあった。いったいどれが真実なのか。
さらに最近では、1976年にアマチュア探検家のスペランカーたちが同地の洞窟を調査していたところ、巣穴のような部屋へとつながる通路を初めて発見した。その巣穴には齧られた骨が散乱し、ひどい悪臭が漂っていた。医学生が調べたところ、人骨が含まれていることも判明した。そして同時期に、裸で青白い、お化けのような人影の目撃情報も多数あった。これほどの異変がありながらも、結局「洞窟を這うもの」の正体は特定できなかった。そして1970年代を過ぎると「洞窟を這うもの」の目撃情報は途絶え、地元の伝説の一部となってしまったようだ。

ここで何が起こっていたのか? 野生動物の仕業だという説もあれば、突然変異を起こした人間や科学実験の失敗から生まれた“何か”だとする説もある。特に奇妙な説としては、古代の探検家の一団が洞窟の大きなシステムに閉じ込められた、あるいはそこに定住し、何世代もの時間をかけて周囲に適応するよう進化したというものがある。もちろん、全てはセンセーショナルな捏造の見出しに踊らされた、純粋な都市伝説だった可能性もある。果たして、どこに真実はあるのだろうか? 今となっては、それを決めるのはあなた自身だ。
Brent Swancer(ブレント・スワンサー)
豪ミステリーサイト「Mysterious Universe」をはじめ数々の海外メディアに寄稿する世界的ライター。人気YouTubeチャンネルの脚本、米国の有名ラジオ番組「Coast to Coast」への出演など、多方面で活躍。あらゆる“普通ではない”事象について調査・執筆・ディスカッションを重ねる情熱と好奇心を持ちあわせる。日本在住25年。『ムー』への寄稿は日本メディアで初となる。
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