「鵺(ぬえ)」を射抜いた二本の矢が眠る愛媛「赤蔵ヶ池」探訪! 源頼政の母の執念が伝わる妖怪現場の謎
我が子の立身出世を切願した果てに鵺(ぬえ)となり、自らを討ち取らせた母の悲願。四国・愛媛 久万高原町 二箆(ふたつの)地区に伝わる「赤蔵ヶ池(あぞがいけ)の鵺伝説」に迫る!
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小学校の庭に「タイムカプセル」を埋めた思い出を持つ読者もいるだろう。しかし、参加した当人はおろか子供や孫の代すら中身を見ることのないタイプカプセルが存在する。今からなんと、6000年後の未来に開封することが定められている「文明の地下聖堂」である――。
もしも古代エジプトのピラミッドが原型を留めていなかったら、6000年前の人々の暮らしについての我々の理解は今よりずっと乏しいものになっていただろう。ピラミッドはある種の「タイムカプセル」として機能しているおかげで、我々は遥か遠い昔の人々の営みを窺い知ることができるのだ。
では、今の我々の文明を6000年先の未来の人々はどうやって検証すればよいのだろうか。
歴史家で米オーグルソープ大学の学長であったソーンウェル・ジェイコブス(1877~1956)は、エジプトのピラミッドが持つタイムカプセルとしての側面に触発され、1930年代から過去6000年にわたり人類が培ってきた叡智を保管したいと考え、ジョージア州ブルックヘブンにあるオーグルソープ大学の校舎の地下に「文明の地下聖堂(Crypt of Civilization)」を建設した。
1920年代、ジェイコブズは古代エジプトの生活について得られる詳細な情報がほんのわずかしかないことに驚き、発見された古代の物品は数千年前の人生の出来事をある程度示しているものの、人々がどのように暮らしたかについての完全かつ正確な記録は存在しないと結論づけ、そのことに落胆した。
そしてジェイコブスは、遠い将来の文明に向けて、人類が終末期までに発展させた生活と伝統を示す物理的および視覚的アイテムの完全な記録を網羅した“タイムカプセル”のアイデアを思いついたのだ。
1935年、彼はこのアイデアについて科学雑誌「サイエンティフィック・アメリカン」の編集者であるオーソン・マンと話し合い、同誌を利用してこのプロジェクトの協力者を募り、1937年8月にプロジェクトが開始された。そして1940年6月までに過去6000年間の地球上の人間の生活を表すと思われる品物を収集し、「文明の地下聖堂」に収蔵したのである。
競泳プールほどの大きさのタイムカプセルの中は、厳選されたアイテムで埋め尽くされている。地下室の内部構造はピラミッド内の部屋を模し、壁には絵文字の装飾も施された。
ジェイコブスは1936年の時点でエジプト暦の開始から6177年が経過したと計算し、この地下室の封印を解く時期を1936年時点から6177年後の西暦8113年に設定。はるか未来の世代に、20世紀の文明についての理解を提供することを目論んだ。
「文明の地下聖堂」は1940年5月25日に密封されたが、6000年後まで中身が損なわれないようステンレス製のドアには溶接が施され、記念儀式も行われた。
西暦8113年に開封されるように設計されたこの地下室には、たとえば次のような遺物や文書が保管されている。
● 古典文学、歴史書、百科事典のセット
● 政治指導者、文化的象徴、日常生活の音声および映像の記録
● 説明書付きのゼンマイ式蓄音機(未来の人々に古典的な技術についての簡単なレッスンが必要な場合に備えて)
● 歯ブラシ、タイプライター、プラスチックのおもちゃなどの日用品
● 文明の地下聖堂を発見した人に英語を教えるために特別に設計された「言語インテグレーター」
ジェイコブズは、西暦8113年に「文明の地下聖堂」を開封した人たちに向けて、彼らにも今後の文化保存努力を期待する書面を残した。人類は自らの習慣と文化を将来の世代のために保存することに取り組んできており、この地下室はそれが具現化したものであると説明している。
その後、「文明の地下聖堂」は世界中でタイムカプセル作成のムーブメントを引き起こし、現在も続く文化現象の先駆けとなった。1939年のニューヨーク万国博覧会の「ウェスティングハウス・タイムカプセル」も、この取り組みから直接インスピレーションを得たものである。
壮大な時間軸のタイムカプセルには、何世代にもわたる過去の希望、夢、ありふれた現実が凝縮されていると同時に、悠久の時を超えてコミュニケーションしたいという人類の願望の証でもある。
おそらく遠い将来、歴史家、あるいは人類の文明の痕跡を血眼になって探し回っている異星人が、この記念碑的なタイムカプセルを割り出すことになるだろう。それまで文明の地下聖堂は我々の時代の記憶を静かに守り続けるのだ。
ギネスブックは、この「文明の地下聖堂」が数千年後の人々のために文化の記録を永久保存する初の本格的試みとして認定した。
だが、「文明の地下聖堂」のアイデアの根底には、やはり人類が今後6000年を待たずにして滅亡することに対する危機意識も織り込まれていそうだ。1940年前後といえば、第二次世界大戦の序盤の火蓋が切って落とされた時期であり、社会と日々の暮らしに暗雲が立ち込めていた時代背景の影響もあるだろう。西暦8113年、文明の地下聖堂を開封するのが我々の直接の子孫であることを願うばかりだ。
【参考】
https://curiosmos.com/the-crypt-of-civilization-time-capsule-extraordinaire/
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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