因幡の白兎はツクヨミだった! 八頭町・白兎神社に隠された不老不死の秘薬伝説/高橋御山人
「因幡の白兎」神話の地を訪れると、ツクヨミと重なる白兎の神格が明らかになった。月と兎、そして霊薬を結ぶ神話を考察する。
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都市伝説には元ネタがあった。あなたの聞いているその歌声。もしかしたら、それは、死者のものかもしれない。
2023年8月11日、清水崇監督の最新作『ミンナのウタ』が公開された。この映画は「とある音」を集めている謎の女子中学生「さな」にまつわる物語とされ、一本のカセットテープから流れる呪われたメロディーを聴いてしまった者はメロディーに取り憑かれ、自らも口ずさんでしまい、呪われるのだという。

この映画のように、歌や音楽が怪異をなすと語られる都市伝説は多い。
聴くと死ぬ歌、といえば有名なのは「暗い日曜日」だろう。これは1933年にハンガリーで発表された楽曲だが、その陰鬱な歌詞と曲調のため、ヨーロッパやアメリカではこれを聞いた人々が次々に自殺したという都市伝説が流布し、後に日本にも流入した。しかし実際にこの曲と人々の自殺との因果関係は証明されていない。
また、死者の声が紛れ込んだ歌という話も多い。有名なのはフォークグループ「かぐや姫」が1975年4月12日に東京神田共立講堂にて行った解散コンサートにまつわるものだろう。
その際に録音された音源に、「私にも聞かせて……」という謎の女性の声が紛れ込み、ラジオ番組「南こうせつのオールナイトニッポン」でオンエアされた際、多くのリスナーから問い合せが殺到した。さらにこれを逆再生すると「私もそこに行きたかった……」「私を捨てないで……」と聞こえることも判明した。この音源は現存しており、実際に聞くことができる。
また、南こうせつ氏はかぐや姫の元リーダーであり、この解散コンサートの前に「南こうせつのオールナイトニッポン」に不治の病を患った少女から手紙が送られてきて、自分はコンサートの前に死ぬだろう、という内容のことが書かれていた、というエピソードが語られる場合もある。この話は稲川淳二氏の怪談「生き人形」の冒頭でも語られることがあるため、知っている人も多いだろう。
一方、ある熱心なかぐや姫のファンだった少女がこの解散コンサートに向かう途中、交通事故に遭って死亡し、その無念から少女の霊の声が音源に吹き込まれた、という話が語られることもあり、真相は不明である。
他にも童唄にまつわる話も多い。たとえば「かごめかごめ」は人身売買、妊婦の流産、死刑囚の境遇を表しているなど、その歌詞に実は怖い意味が隠されているといった話が多々語られるが、それ以外にもこの童唄を歌いながら現れる幽霊の話がある。
東京都の奥多摩橋を舞台に語られるこの幽霊は、水をかぶったように全身を濡らした少女とされ、橋を渡っている人間がいると「か〜ご〜め、か〜ご〜め〜……」と歌いながら現れる。そして「か〜ご〜め、か〜ご〜め〜……」の続きをその人間が歌うことができないと「ハズレだよ……」と告げる。
するとその人間の首が意志とは関係なく横を向く。これが3回繰り返され、最後にはその人間の首が後ろに180度向いて折れて死んでしまうという。
同じく童唄の「あめふり」は3番以降の歌詞が衰弱して死んでいく子どもの様子を表現しているという都市伝説もある。これは最後まで歌ってしまうと幽霊を呼び寄せてしまうなどといい、この幽霊は「あめふり」の歌詞のモデルとなった子どもなのだとされる場合もある。
このように、歌を死者と結びつける都市伝説は多数ある。
しかし歌にまつわる怪異譚は現代にのみあるわけではない。
現在、死者の声を記録するのはカセットテープやCDなどの媒体だが、過去には死人の髑髏が歌を歌った。
「歌い骸骨」や「歌う骸骨」と呼ばれる民話がそれだ。日本各地に伝わっている民話だが、大まかな話は以下のようなものだ。
あるふたりの商人が同じ場所に行って仕事をした際、一方は儲けたがもう一方は儲からなかった。儲からなかった商人は、帰りの旅の途中に儲かった商人を殺し、彼が稼いだ金を奪ってしまった。
それから数年後、奪った金を使い果たしてしまった商人が仕方なくまた金を稼ごうと、あのときと同じ道を歩いて仕事に向かっていると、もうひとりの商人を殺したあたりの薮から歌声が聞こえてきた。不思議に思って捜してみるとそこに骸骨があり、その髑髏が歌っている。
骸骨はさらに言葉をしゃべり、どこへ行っても歌を歌うというため、これで金儲けができると考えた商人はそれを持ち帰り、長者に見せて褒美をもらおうとする。しかしいざ長者の前になると骸骨はまったく歌おうとせず、ついに怒った長者によって商人は首を刎はねられてしまう。
すると骸骨は自分がこの商人に殺された顚末を語り出し、敵を討ったと喜んだという。
歌うのではなく踊る骸骨とされる場合もある。また、殺された人間の骸骨が自身の顚末を語ることで敵討ちを果たすという話は平安時代初期に記された説話集『日本霊異記』にすでに見え、歌う骸骨の話は江戸時代の『黒甜鎖語』にも記録されている。
また、グリム童話の『歌う骨』は兄が殺した弟の骨を使って笛を作り、その笛を吹いたところ、その笛の音色が兄の罪を告発する歌として発せられる物語だ。このように歌う骸骨の話は世界中に類例がある。骸骨は歌によって己の身に降りかかった悪事を告発し、加害者を死に導くのだ。
このように、死者にまつわる歌の物語は古くから語られてきた。そして現在、技術の発展によって歌を聴く方法は数えきれないほどに増えつづけている。
あなたが今聞いている歌の中にも、死者の歌声が紛れ込んでいるものがないとはいいきれないのだ。

(月刊ムー2023年9月号掲載)
朝里樹
1990年北海道生まれ。公務員として働くかたわら、在野で都市伝説の収集・研究を行う。
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