天狗の霊術を使い、物品を引き寄せ、水面を歩く! 仙縁道者 高橋宥明/不二龍彦
空を飛んだり、水上を地上と同じように歩いたり、自在に姿を消す……そんな術法をこともなげに駆使できたひとりの男がいた。 「神変極りなき通力の所有者」といわれた高橋宥明(ゆうめい)である。 彼の術法のルー
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インドでは古来より自らの命を犠牲にして戦った英雄を讃えた石碑「ヒーローストーン」が各所に建てられいる。この記念碑を考察することで見えてくるのが「サイコポンプ」と世界中の文化に共通するあの世への“旅立ち”だ――。
インドには、コミュニティや地域を守るために命を犠牲にして戦った英雄を記念して建てられた「ヒーローストーン(hero stones)」が数多く存在している。特にインド南西部のカルナータカ州に集中しており、同州には2600以上ものヒーローストーンが遺されている。
興味深いのは、紀元前400年にさかのぼる風習であるこのヒーローストーンには、まるで4コマ漫画(3コマが標準ではあるが)のような手法で、奉られた英雄のストーリーが描写されていることだ。
一般的なヒーローストーンには3つのパネルがあり、一番下のパネルには最終的に死に至る戦いに参加した主人公が描かれている。戦いはさまざまな理由で行われ、主人公は王のために戦うこともあれば、侵略者から村やコミュニティを守ることもあり、猛獣の襲撃から村の牛を守ったケースもあれば、女性を助けて命を落としたケースもある。
中央のパネルには、亡くなった英雄が「アプサラ(apsaras)」と呼ばれる天国の妖精(ニンフ)によって天に向かって浮上させられている様子が描かれており、多くの場合、アプサラはガンダルヴァ(gandharvas)と呼ばれる天国の楽団を随伴させている。
そして上のパネルは、主人公がインドラの天国(インドラロカ)に到達し、アプサラたちに付き添われながら玉座に着き、ヒンドゥー教の神であるシヴァ、ヴィシュヌ、ラクシュミー、ジャイナ教の祖師であるティールタンカラなどの神を崇める姿が描かれている。
このようにヒーローストーンには戦闘、英雄の昇天、天上への住居という3つの段階がそれぞれ描かれ、説明している。いわばあの世への“旅立ち”を物語っているのである。
あの世への“旅立ち”において重要な役割を担うキャラクターが「サイコポンプ(Psychopomp)」である。
ギリシャ語で「魂の導き手」を意味するサイコポンプは、多くの宗教における精霊、天使または神であり、新たに亡くなった魂の昇天を先導し、護衛する責任を負っている。
古代の伝説に登場するよく知られたサイコポンプには、北欧のワルキューレがいる。彼女らは戦場で死んだ戦士の魂をアスガルドにある神のオーディンの殿堂、ヴァルハラへと導く女性グループである。
一方でギリシア神話に登場するヘルメスは、人間の世界と神の世界の間を素早く自由に移動し、死者の魂をあの世に導く「神の使者」である。
そしてゾロアスター教の美しい処女の姿をしている天使・ダエーナー(Daena)は、亡くなった善良で純粋な魂をチンワト橋を渡った先の楽園へと導く。
ヒーローストーンではアプサラとガンダルヴァがインドの信仰体系においてサイコポンプの役割を果たしたことを示している。つまりガンダルヴァとアプサラがヨーロッパの民間伝承のエルフに対応していることは明らかである。
これが意味するのは、さまざまな宗教のサイコポンプは妖精の民であるということである。
キリスト教では、妖精の民は「天使」として知られるようになり、人間と神の間の「仲介者」として、また神の「使者」としての役割を果たしている。天使は我々の個人的な「スピリットガイド」または「守護天使」としても機能し、故人の魂をあの世に導く。キリスト教美術では、天使は翼と輝かしい光輪を持つ、並外れて美しい存在として描かれてきた。
ほぼすべての宗教に登場するサイコポンプだが、では、あの世への“旅立ち”だけを体験して生還した人々――つまり、臨死体験者もこの存在に出会い、導かれたのだろうか。
ウェスタンニューメキシコ大学のクレイグ・R・ルンダール博士が執筆した『Angels in Near-Death Experiences(臨死体験における天使)』という1992年の論文では、臨死体験の中で天使のような存在についての言及がいくつか見つかったことを報告している。
アメリカの医師で心理学者のレイモンド・ムーディ博士が初めて取り上げた小児臨死体験のケースでは、9歳の少年が天使の一団に出会ったが、その天使たちには羽がなく、光り輝いており、彼をとても愛しているようだった旨が記されている。
天使への言及は、メルビン・モースとポール・ペリーによる小児臨死体験に関する調査結果を報告したノンフィクション『Closer to the Light』(1990年刊)の中でも言及されている。同著の中でモースとペリーは、多くの子供たちが自分たちを天国に導いてくれる「真っ白」で金髪の守護天使について話したことを紹介している。
たとえば、9歳の少女ケイティは、臨死体験の中で自分の守護天使である“エリザベス”に会った。エリザベスは背が高く(2メートル以上)て、明るい金髪で白く長いガウンを着ていたという。
エリザベスはケイティに付き添ってトンネルを登り、そこで亡き祖父に会い、2人の新しい友人を含む数人に出会ったということだ。
ルンダール博士は、天使について臨死体験者が以前に面識があったことを通常は覚えていない人物であると結論づけ、天使は臨死体験においてガイド(スピリットガイド)、メッセンジャー、または護衛の役割を果たしていると説明する。やはり、天使はサイコポンプなのである。

サイコポンプに対する古代の信仰は、こうした臨死体験の報告によっても裏付けられる。ということは、これらの信仰が単なる空想や迷信ではなく、死後に起こる実際の出来事に基づいていると示唆されてくるのだ。
世界中のほぼすべての宗教と信仰の物語に登場するサイコポンプは、あの世への“旅立ち”の普遍性を物語る存在――つまり、現代に生きる我々も死に際してそれを体験することになるはずだ。
日本には死期が近づいていることを「お迎えが来た」という表現する文化もあるが、その“お迎え”こそがサイコポンプということになるのだろうか。そしてその“お迎え”は自己を犠牲にした英雄や善良で純粋な人々、さらに無垢な子供たちなどへ優先してやって来るということかもしれない。やはり、魂を汚すことなく日々を過ごしたいものである。
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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