予言者ババ・ヴァンガの遺言と謎の古代遺跡/MUTube&特集紹介 2024年7月号
未来を見通した、偉大なる女性がいた。世界の指導者がアドバイスを求めるほど正確に未来を語った予言者=ババ・ヴァンガ。その彼女が残した「遺言」は、未知なる古代遺跡の存在と、そこへ至るための道のりを示すもの
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怪談師としても活躍中の漫画家・山田ゴロ氏。自身の故郷・やつるぎ村での怪奇体験を振り返る。
村には燃料屋が1軒あった。薪や炭を注文すると,すぐに届けてくれる。村のどの家にも行くので、村の人たちのことを、よく知っていた。
だから、燃料屋の善さは、物知りっていわれていた。
「ゴロちゃん、わからんことあったら、わしに聞け。なんでも教えちゃる」
「善さがわからんことって何?」
「わははっ。そりゃわからんな」
「自分のことは、わからんの?」
「そういうもんじゃ。自分の顔や背中は見えへん。世の中、そんなもんや」
善さは「大きな実用車」と呼んでいた自転車にリアカーをつけて、うんしょ、うんしょっとペダルを漕いで、薪や炭を配達する。とても親孝行で、いつもリヤカーには、善さのおばあちゃん(善さのお母さん)が乗っていて、積み下ろしを手伝ったりしていた。
集金はおばあちゃんの仕事だった。
ぼくがお金を払うと、
「5円はゴロちゃんにあげるわ」
と、払ったうちからお小遣いをくれる。5円は、1日のお小遣いだ。10円になるとキャラメルやアイスが買える。
小学校3年生になったとき、プロパンガスになった。ダルマのようなボンベを善さが配達する。自転車はオート三輪車になった。
ちょうど、学校から帰ってきたとき、善さが配達に来ていた。
「善さ、こんにちは」
「おう!」
プロバンのポンベを地面に転がすようにして、家の奥の台所に行った。
「おばあちゃん、こんにちは」
「こんにちは。ええ子にしとるかね」
「うん、しとるよ。ほんでも与っさは嫌いや。昨日も、与っさのゆるフン、ひっぱったったらビンタされた。ちゃんと絞めたろうとしただけやのに」
「あっはっはっ。そりゃ災難やったね。小遣い、10円あげるわ。見舞金やね」
「ありがとう!」
そこへ、仕事が終わった善さと、母が玄関に姿を見せた。
「いくらやったね」
「****円」
「高いねぇ」
「すんません。ゴロちゃん久しぶりやな。小遣いあげるわ」
「あっ、ええよ。おばあちゃんに、もうもらったで」
「えっ!?」
善さも母も声をあげた。
ぼくは、手のひらの10円を見せた。
「そりゃよかった。ほんなら、また」
そういうと善さは、助手席におばあちゃんを乗せて、帰っていった。
「ゴロ、おばあちゃんいたのか?」
「うん。善さの横に座っとるよ」
「ほうかね……ゴロ、お母ちゃんが10円やるで、その10円と交換して」
「なんで?」
「なんでも」
その晩、善さが家にきて、母は10円を白い紙に丁寧に包んで渡した。
「お母ちゃん子供好きやで、あっちの子、こっちの子にお小遣いあげるんやて。もう、3年にもなるのに……」
「そうやね。ええ人やったね。ほんでも、そんなことしとるで、三途の川、渡れへんのやわね、きっと」
「そうかも知れんね。はよ渡したらなあかん。これ仏壇に供えて、もうちょっと足したらな」
そんな話をして、またオート三輪の横に、おばあちゃん乗せて、暗い夜道をバタバタ帰っていった。
それからは、おばあちゃんを見たことがない。ぼくは三途の川の渡り賃を、もらっていたのかしら。

山田ゴロ
漫画家。1952年、岐阜県羽島郡生まれ。漫画家・中城けんたろう氏に師事、石森プロに入社、 『人造人間キカイダー』でデビュー。1975年からフリー。社団法人日本漫画家協会所属、一般社団法人マンガジャパン所属、デジタルマンガ協会事務局長、Japan Manga Artist Club (J-Mac)代表。近年はノスタルジーを感じさせる唯一無二の怪談を語る怪談師としても活躍
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