山で男を待っている…笑う「山女」/妖怪補遺々々
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美しすぎるマネキンに「遺体」疑惑! メキシコで話題の都市伝説には、悲しい逸話が背景にあった。
メキシコ・チワワ州のブライダルショップには、本物の人間にそっくりのマネキンが展示されているという。「ラ・パスクアリータ」と名付けられたこのマネキン。なんと、不慮の死を遂げた女性の遺体だと信じられているのだ。
地元紙によると、そのマネキン「ラ・パスクアリータ」が初めてショーウインドウに展示されたのは1930年3月25日のこと。フランスから特別に取り寄せたというマネキンの登場に地元は話題騒然、店前には物珍しさから見物客が後を立たなかったそうだ。
その神秘的な美しさはまさに垂涎の的で、マネキンが着用したウェディングドレスは瞬く間に完売。なかには本当に恋をしてしまい、店から連れ出そうとする男性もいたほどだったという。しかし、あまりにもリアル過ぎる姿形に、ある無気味な噂が広まるようになる。
マネキンは本物の遺体ではないかーー。

というのも、店主であったパスクリータ・エスパルザには、自身の結婚式直前にサソリに噛まれ亡くなった娘がいたのだが、その娘の容姿があまりにもマネキンと酷似していたのだ。
引き締まった体に、美しい髪。眼球には静脈が見られ、手のつけ根には皺が寄り、指先には指紋まである。そして驚くことに脚には、亡くなったと娘と同じ位置に静脈瘤までもがあったというのだ。

小さな町の出来事である。娘を亡くしたパスクリータが、どれほど嘆き悲しんでいたか、町のだれもが知っていたそうだ。このことから、いつしか「マネキンは密かにフランスで特別な防腐処理を施した娘の遺体ではないか」と囁かれるようになり、小さなパスクリータを意味する「ラ・パスクリータ」と呼ばれるようになったのである。
母親は、1967年にこの世を去るまで、約40年もの間、毎晩ひとりでラ・パスクリータのドレスを着替えさせていたという。
「マネキンは死んだ娘の遺体ではないか」という質問にも、否定も肯定もせず、ただ娘のような存在であるとだけ答えていたそうだ。だれにも触れさせず、だれにも着替えを見せず、たったひとりでその秘密を抱えて亡くなったとされるが、これが事実であるとしたら、恋人との新しい生活を夢見ていた矢先の突然の不幸に、せめて店先だけでもウェディングドレスを着させてあげようと考えたのだろうか。
母親の死後、美しきマネキン「ラ・パスクリータ」は、マリオ・ゴンザレスという人物の所有となり、「La Casa De Pascualita(パスクリータの家)」としてメインウィンドウに展示されている。やはりここでもオーナー自らが細心の注意を払いドレスの着替えを行っているという。
だが、漏れ聞くところによると、「足の血管がまさに人間のものだった」「視線を感じて振り返ると、ラ・パスクリータと目があった」「いつの間にか位置が変わっていた」等、奇々怪々な出来事におののき、辞めてしまう従業員が多いということだ。
ラ・パスクリータの噂は、メキシコ全土に広がり、過去にはチワワ当局による調査が行われている。オーナーはこれを最後まで頑なに拒否し、最終的には頭部のみ調査が行われたそうだが、それによると表面はワックスで覆われていたことが明らかになったそうだ。このことから、母親であるパスクリータが亡くなると同時に、ラ・パスクリータも埋葬され、現在展示されているものはレプリカではないかとも推測されているが、その真偽は謎である。

しかしながら今から93年も昔の出来事である。メキシコの風土を考えると、防腐処理されているとはいえ、マネキンとなった遺体がそのままの姿で残されている可能性は低いだろう。
だが、古くから人形には魂が宿ると伝えられてきた。日本のみならず、世界各地でそのような事例は残されていることから、死んだ娘に似たマネキンを作り、そこに娘の魂を移したとしてもおかしくはないだろう。人形島など、メキシコの死生観やシャーマニズムに由来する呪術的な物となってしまうが、都市伝説として済ませるにはあまりにもリアルである。神秘的なものであることは間違いないようだ。

【参考】https://seeksghosts.blogspot.com/2016/02/mexico-la-pascualita-or-corpse-bride.html
https://www.clarin.com/viste/leyenda-pascualita-chica-embalsamada-madre-exhibida-vidriera_0_AzWednvZX6.html
遠野そら
UFO、怪奇現象、オーパーツなど、海外ミステリー情報に通じるオカルトライター。超常現象研究の第一人者・並木伸一郎氏のスタッフも務める。
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