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古川順弘 著
京都文化の基層ともいうべき古社を巡る
京都の神社といえば、だれでも思いつくのが北野天満宮や今宮神社、最近では晴明神社などだろうか。これらはいずれも、平安遷都以後の神社で、観光至便な京都の中心地にあり、その分、多くの外国人観光客らでごった返している。
これに対して本書は、平安以前の、王朝文化の陰に潜んでひっそりと佇む、京都文化の基層ともいうべき古社を巡り、その歴史を探究するという、実に興味深い企画である。
知られざる京都の原点・宇治上神社と宇治神社に始まり、まつろわぬ民の水神・貴船神社、渡来人・秦氏が奉斎した大酒神社と木嶋坐天照御魂神社、さらには稲荷信仰の本源・伏見稲荷大社に、浦島伝説の源泉・浦嶋神社など、全部で30社が収録されている。
解説がともかく詳しいので、読んでいるだけでも、それなりに楽しいのだが、本書のような書物はただ座して読んでいるだけでは、その真価は十分の一も発揮しえない。ぜひ本書を片手に、ここに紹介された神社を実際に探訪していただきたい。何しろ収録されている神社は、30社にも及んでいる。1週間やそこらでは回りきれまい。
雅やかな王朝文化のみならず、その奥にある重層的な歴史を堪能したいという、一段上の京都マニアに最適だが、まったく逆に、昨今のオーバーツーリズムの喧騒を避けて、賢く京都の穴場巡りがしたい、京都初心者にもおすすめの良書である。

(月刊ムー 2024年12月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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