歌う魔物は、歌うま者ーー歌声の主にご用心/黒史郎・妖怪補遺々々
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トート/ロナウド・マルティノッツィ 著
7次元の世界を記録した、奇書中の奇書
「ヴォイニッチ手稿」といえば、本誌の読者にとっては、基礎教養に属する「謎の奇書」。1912年にイタリアで発見されたこの手稿は、まったく未知の言語と文字、それに奇怪な博物学的イラストで構成された奇天烈な代物で、これまで数多の研究の対象となってきたが、いまだ解読はなされていない。毎年のように「ついにヴォイニッチ手稿を解読した!」という話が出てきては、いつの間にか立ち消えになるのも、オカルト業界の風物詩といえるだろう。
さて本書は、イキナリそのヴォイニッチ手稿の作者を「16世紀、イタリア人男性でロナウド・マルティノッツィという医学の研究者だった」と断言してしまうから驚く。
いわく、このマルティノッツィはあるとき、研究のかたわら用いていた幻覚剤の作用により、「この宇宙意識の7次元世界」に迷い込んでしまう。何と本書によれば、そんな彼が7次元の世界で見聞きしたことを、その世界の文字で記録した手稿、それこそが『ヴォイニッチ手稿』なのだ!
著者の「トート」は「アトランティス人」で「太古からの全ての知識と知恵の保持者」とのこと(昔、霞ヶ関書房から『エメラルドタブレット』を出していた人か?)。本書は、ヴォイニッチ手稿の制作現場にいあわせたというこのトートが、手稿の全ページを、圧倒的な霊知に基づいて完全解読してしまう、驚異の書。文字通り奇書中の奇書である。

(2023年10月号掲載)
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