失われた精神世界を辿り直す本「オカルト2.0」/ムー民のためのブックガイド
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ゲーム雑誌「ファミ通」とのコラボで ムー的ゲームをお届け! 今月は警備のシチュエーションにフォーカスしたホラー作品。
昨今さまざまなシチュエーションにフォーカスしたホラー短編作品が生み出されているなか、今回紹介する『Security Booth:Director’s Cut』は、ビルの正門警備員になって恐怖体験と邂逅するというなかなかに稀有な作品。
大きな会社や工場など、広大な敷地を持つ施設にはたいがいものものしい鉄の正門がそびえているもので、その脇を見やれば、正門警備員のブースがあるのを目にしたこともあるはず。本作であなたは、そのブースに詰めてビルの保全と出入りする人物の警備を担当する正門警備員の職務をまっとうすべく、来訪する車などをチェックする日々の業務にあたっていく。その過程は非常に淡々としており、初代プレイステーション時代をほうふつとさせるようなビジュアルも相まってか、なぜか妙にリアリティを感じさせる。

しかし、コーヒー片手に警備室の業務に従事する変わらぬ日々のなかで、そんな単調さとは裏腹な奇妙で非現実的な出来事と遭遇することになるだろう。
ムー民の皆様は、本誌で特集される秘匿されたミステリアスな事象に迫っていく知的好奇心に胸を躍らせてきたはず。だが『Security Booth: Director’s Cut』では、隠された超常的な真実を追うどころか、それが自分が知らずに守ってきたものとしてずっと背後に存在しつづけていた……と気づいた瞬間の戦慄。警備ブースから眺めていたビルのなかで、何が行われているのか。警備室の窓に映る手形は、疲れからくる幻覚だったのか? 短編小説やオムニバスの一作品に没入するかのように体験できるという、この夏にお勧めしたいムー的逸品。

(本作のムー民度 ★★★★☆)

Steam 520円 配信中©Kyle Horwood
(「月刊ムー」2023年9月号より)
藤川Q
ファミ通の怪人編集者。妖怪・オカルト担当という謎のポジションで、ムーにも協力。
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