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書評家・ゲームコラムニストの卯月鮎が話題のゲームから連想されるオカルト、超常現象、不思議をピックアップ。これらを知っておけばゲームがもっと楽しくなるかも!?
動物のような、植物のような特徴を持つ不思議な生物ピクミンの群れを引き連れ、未知の惑星を探索する独自のゲーム性が世界中で愛されている『ピクミン』シリーズ。その最新作『ピクミン4』が7月21日に発売されました。

今回は、とある惑星で『1』『2』の主人公キャプテン・オリマーが遭難し、その救助に向かったレスキュー隊員7名も消息を絶ってしまったところから始まります。プレイヤーは新米隊員として、急きょ彼らを捜索することに……。
新たな相棒として、新米救助犬・オッチンも登場。ピクミンと一緒に原生生物と戦ったり、オタカラを運んだり、いろいろとサポートしてくれます。
では、『ピクミン4』から連想されるムー的キーワード3つを挙げていきましょう。
半動物半植物といえば、中世ヨーロッパで信じられていた羊の入った実がなる植物「バロメッツ」。14世紀、イングランドの騎士ジョン・マンデヴィルが残した見聞録『東方旅行記』には、カディルという王国には大きな果実がなり、「中に血も肉もある獣が一匹はいっている。それはまるで毛のない子羊みたいである」と記されています。住民は食用にもしたそうです。
これを、へそで茶を沸かすホラ話と断じたのが、戦前の知の巨人・南方熊楠。『十二支考』のなかでこうした植物的羊を一蹴しています。移動する動物的な性質と胞子を飛ばす植物的な性質を併せ持つ粘菌をこよなく愛した熊楠にしてみれば、伝説よりも粘菌のほうが研究しがいがあったことでしょう。

犬と人間の絆は1万年以上前までさかのぼれるといいます。古代エジプトの死の神アヌビスは、犬もしくはジャッカルの頭を持つ神で、死者の魂を計量して冥界の神オシリスの審判の間へ導く役割を担っていました。ギリシア神話の地獄の番犬といえば3つの首を持つケルベロス。蛇身の怪女エキドナが生んだ子で、地獄の入り口で死者の逃亡と生者の侵入を阻む……。はずですが、意外とお菓子に弱いというおちゃめな側面がありました。古代ローマの物語『黄金のろば』では、美少女プシュケーが蜜酒でこね固めた大麦粉の菓子でケルベロスを手なづけて、入り口を通り抜けています。

笛を吹いて集団を操るというと、グリム兄弟が伝えた「ハーメルンの笛吹き男」が浮かびます。突如として街から子どもたちがいなくなったという不思議な現象。これは実話で、事件が起こった1284年に盛んだった少年十字軍説や、東ドイツへの植民説がささやかれています。
笛といえばインドの蛇使いも連想されます。蛇使いが吹いているのはヒョウタンに竹管を差し込んだ「プーンギ」などと呼ばれる笛です。ただ、蛇には音波を直接的に集める器官はなく、実際に蛇が入ったカゴを叩いたり、指や笛の動きで反応させたりして操っているように見せているとか。
ちなみに、日本には「夜、口笛を吹くと蛇が出る」という言い伝えがあり、地域を越えた共通性を感じます。なぜ口笛がタブー視されたのかは諸説ありますが、一説には昔の貧しい農村では夜、人買いが口笛を吹いてやりとりしていたから……。なんとなく「ハーメルンの笛吹き男」にもつながってきますね。


「ピクミン4」公式サイト https://www.nintendo.co.jp/switch/ampya/index.html
© Nintendo
【参考文献】
ジョン・マンデヴィル『東方旅行記』東洋文庫
南方熊楠『十二支考』岩波文庫
ヴェロニカ・イオンズ『エジプト神話』青土社
アプレイウス『黄金のろば』岩波文庫
阿部謹也『ハーメルンの笛吹き男』ちくま文庫
卯月鮎
ゲームコラムニスト・書評家。雑誌、Web等でゲームの紹介、書評を中心に活動する。著書に、ゲーム実況のはしりとも言われる『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)がある。
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