「死ぬために生きている人々」の死生観とは!? インドネシアのトラジャ族の墓と葬式を現地取材/小嶋独観
珍スポを追い求めて25年、日本と世界を渡り歩いた男によるインドネシア屈指の珍スポ紹介!
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一度見たら忘れられない、カラフルで奇抜な建物。それは妖怪がすむ「死ななくなる家」だった?
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東京のとある郊外に、奇抜な外観の不思議な建物がある。それは「人間を死ななくする」家で、妖怪になることを目指す妙な男が住んでいるーー。
そんな怪情報がムー編集部に飛び込んできた。不思議な外観で、人間を死から解放する家? 妖怪を目指す男? ゲタの音が響く妖怪ハウスみたいなこと……?
疑問を解決するべく、編集部は「妖怪になりたい男」とのコンタクトに成功。ウワサの現場の取材へと直行した。


東京都三鷹市、三鷹駅からバスで10分ほどの場所に建つ、見るからに奇抜でカラフルな建物。これが「死なない家」三鷹天命反転住宅だ。
ここの住民にして、今回取材に応じてくれた「妖怪になりたい男」がこちら、加藤志異さん。

さっそく招き入れてもらうと、入り口から早々にその奇妙さが体感される。まず、どこまでが玄関でどこからが生活スペースなのかもよくわからない。「靴はだいたい玄関のあたりで適当に脱いでください」とのこと。
ふつうの家ではまず見ない原色と曲線だらけの内装に目を奪われるが、それよりも大変なのは足元だ。コンクリート製の床が平らではなくデコボコだらけになっていて、歩くだけで足つぼマッサージの状態。10分も経っているとふくらはぎが悲鳴をあげだすような設計なのだ。
いったいこの家、何を目指してこんな設計に?「三鷹天命反転住宅」とはなんなのか……? それは住人である、妖怪になりたい男に解説してもらおう。
加藤:「人間を死ななくする住宅」というのが、三鷹天命反転住宅のコンセプトなんです。簡単にいうと、自分の肉体の外側に、あたらしい身体をつくるということです。肉体の内側に限定されている気配や雰囲気、五感といったものを、外側に延長させてしまう。そうすると、たとえ肉体は滅びてもその人間は「死なない」ことになる……というのが、この住宅をつくった建築家、荒川修作さんの考えです。
僕は荒川さんの弟子としてお手伝いしていたことがあるんですが、荒川さんは常々「これまでの人類の芸術、哲学、科学はすべて間違いだ。なぜならそれらはすべて「人間が死ぬ」という前提でつくられているから。それを全部ひっくり返したい」といっていました。そして、人間が死ぬという天命をひっくり返すための住宅、五感を肉体の外にある建物に延長させるための家としてつくられたのが、この「天命反転住宅」なんです。
——深い。安直に「映え」を狙った奇抜な設計などではないんですね。そうすると、この家は「死なない人間をつくるための家」ということですか?
加藤:そうなんです! 荒川さんは「おばけ」と表現していましたが、まさにここは死なない人間、妖怪をつくる家なんです! 僕はもう20年近く「妖怪になる」といって活動しているんですが、僕のイメージする妖怪とは「永遠に楽しく生きる存在」のことで、この住宅のコンセプトとも合致するんです。その自分なりの妖怪像を目指して、日々妖怪への道を模索追求しているところですが、いま40代で、登山でいえば今やっと4合目あたりにきたところです。半妖怪みたいなもんですね。
——そんな妖怪育成住宅、見るからに住むにはハードルが高そうですが、加藤さんは実際にここで暮らしているんですよね。
加藤:もちろん住居として使っています。もう4年になりますね。不便ということはないですが、いわゆる普通の生活は難しい。たとえば床がデコボコなので、本棚を立てるにも足元を固定したりと、工夫やいろんな技が必要なんです。
たとえば以前寝起きしていた丸い部屋では、部屋全体が球体になっていて床も完全な曲面なので、普通には寝られない。寝ること自体が修行という感じになるんです。それから自分のしゃべった声が後ろから反響して聞こえてきたりと、常に五感を意識する生活になるんですよ。
——ユニークな物件だけに、お家賃も高そうですが……?
加藤:家賃は月額17万円で、自分ひとりだと、高いですね……。なので、3人でルームシェアしています。

妖怪育成ハウスはなんとルームシェアだった! 妖怪になりたい男と同居するのは、いったいどんな人たちなのか? ルームメイトのおふたりにもインタビュー。まずは加藤さんと同時期に入居した古株の、田中宏幸さん。

田中宏幸さん:住人の田中です。以前、ここを最初に借りようとした方がシェアハウスの同居人を募集していて、申し込んだら受かったんですよ。審査があるという話だったんで、どうせ落ちるだろうくらいの軽い気持ちで申し込んだら「合格です」と連絡が。聞いたら他に応募者がいなかったそうで、住まざるを得なくなってしまった。
——オーディション参加者がひとりだけだった(笑)。田中さんも天命反転住宅に住みたかったんですか?
田中:いえ、その方が敷金礼金を負担してくれるというので、それがいいなと思っただけで、この住宅にはあまり興味なかったんです(笑)。そんなことで、募集した彼と2人で住む予定だったのですが、そこに加藤さんが「奥さんに出ていかれちゃったんでそこに住まわせてくれないか」とやってきたんですよ。3つある部屋のうち空いていた丸い部屋でよければ、ということで加藤さんも一緒に住むことになったんです。
——田中さんはふだんはどんなお仕事をされているんですか?
田中:無職です。以前はIT系の仕事をしていたんですが今は休職中で、モテ本の研究とかしています。
——「妖怪になりたい」並みに不思議な状態ですね……。
そしてもうひとりのルームメイトは、なんと女性!

——妖怪、無職ときて……だいじょうぶですか、ルームシェアですよね?
紅林大空さん:大丈夫です、私は加藤さんのストーカーしてたので。……といっても加藤さんに興味があったわけではなく(笑)、ここに住むためだけに加藤さんの情報をずっと追いかけてたんです。ずっと三鷹天命反転住宅に住みたくて情報を探していたんですが、ここに住んでいる人で情報発信をしていて、内部も見せてくれていたのが加藤さんだけだったんですよ。
——なるほど、追っかけていたのは家目的が10で、加藤さん本人への興味は……。
紅林:ゼロです(笑)
——紅林さんはふだんは何をしてらっしゃるんですか?
紅林:「カワイイ」に関するアーティストをしています。竹下通りのアーケードデザインをしたり、海外にもカワイイ系のコンベンションで出かけたりしています。
——すごい! やっと三鷹天命反転住宅のコンセプトにぴったりに思える人が登場した! 紅林さんはいつ頃から住んでいらっしゃるんでしょう。
紅林:私は住むというよりも、仕事をしたり作業をしたり、アトリエとして利用しています。まとまった休みがとれたら寝泊まりもしたいなと思っているんですが、なかなかタイミングが。
——紅林さんのお部屋は、以前加藤さんが住んでいた丸い部屋なんですね。加藤さんは寝るのも修行だといっていましたが……。
紅林:大丈夫です、私どこでも寝られるんで。ただあの部屋は、くつ下を履いているとすべって立てないので、絶対に裸足でないとだめなんですよ。くつ下で入ると確実に転んで後頭部打ちます。
——同居人が「妖怪」だというのは、まわりにも伝えてらっしゃるんですか?
紅林:まだ言ってないんですよ。どうしようかな。「妖怪」は、あんまりかわいくないんで……。
——なるほど(笑)。実際に三鷹天命反転住宅で制作活動をして、環境はどうですか? 創作にも影響がありますか?
紅林:この家はとにかく色がかわいいし、創作にはすごくいい影響がありますよ。日当たりも悪くなくて生活するのにもマイナスはありません。ひとつあげればトイレとお風呂にドアがないんですが……個人的には大丈夫です。

紅林:あと、加藤さんが設置したあまりかわいくない棚があるんですが、それを撤去して天井からチェーンを吊るして、逆さまになってアイディア出しをするスペースをつくりたいなとか、そんなことを計画しています。
——これからゆっくり時間をかけて、妖怪を排除してカワイイに塗り替えていこうと?
紅林:そうですね、妖怪の人間ぽいところを排除していきたいです(笑)
加藤さんが半妖怪とすれば、紅林さんはカワイイの妖精というところだろうか。部屋の雰囲気にもぴったりだが、さらになんと紅林さん、ムーも大変お世話になっている、さる超有名超能力者の親戚なのだそうだ。まさかこの取材でそのお名前を聞くとは……! と驚いたが、天命反転住宅、やはりパラノーマルなななにかを引き寄せるちからを持っているのかもしれない。
後編では、3人の部屋について取材していくとともに、占い師・暮れの酉さんによる「風水や東洋占術の視点での物件チェック」をお届け。
常識を超えた「三鷹天命反転住宅」での暮らしは、いかなるものか……?
取材協力=三鷹天命反転住宅
© 2005 Estate of Madeline Gins. Reproduced with permission of the Estate of Madeline Gins.
webムー編集部
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