映画『樹海村』公開記念! 樹海とコトリバコの呪力と生命力/清水崇・吉田悠軌
自殺の名所としても知られる「樹海」には、死にきれなかった者たちが集う「樹海村」があるーー。 『犬鳴村』に続いて、有名都市伝説の映画化を成し遂げた清水崇監督と、都市伝説ルポルタージュの第一人者、吉田悠軌
記事を読む

ムー公式web最長連載「妖怪補遺々々」が100回を通過! 記念企画として「ひどい民話を語る会」とのコラボ対談を実施した。お化け盟友・村上健司が黒史郎を語る。
「ムー」公式サイト「webムー」の「妖怪補遺々々」が連載百回目を迎えたということで、それを記念する対談が行われた。タイトルは「ひどい妖怪を語る会」。対談そのものはムー公式YouTubeに動画があがっているのでそちらを視聴していただくことにして、ここではその裏話的なことを綴ってみたい。
ご存知の通り、黒史郎さんは作家である。ホラーや怪談といったジャンルを得意とし、数々の小説を手がける一方で、妖怪にも造詣が深く、日ごろから郷土資料を渉猟して光があまり当たらない妖怪を発掘している。そうして見つけ出された妖怪が、「妖怪補遺々々」で取り上げられてきたのである。
今回、対談相手に自分が選ばれたのは、妖怪の記事ばかり書いているライターであり、「ひどい民話を語る会」なるトークイベントの語り部仲間でもあったことが大きく関係するようだ。

そもそも黒さんとは作家デビューする前からの友人であり、妖怪サイトを運営する人たちとの交流がきっかけで知り合った。そんな交流の場では、ときおり同好の士が集まって資料を交換し、「こんな妖怪がいたのか!?」と興奮していたのだが、その際に驚かされたのは、黒さんが沖縄や九州など南方系の妖怪にとても詳しいということだった。
例えば今回の対談でも取り上げた徳之島のチカバク(箱)も、確かそうした資料交換を通して知った妖怪と記憶している。

その理由を以前尋ねてみたところ、作家デビューするまで務めていた会社がよく社員旅行を行っていて、なぜか沖縄ばかり行っていた──ということだった。時間を見つけては地元の図書館や古書店に入り浸り、お化けが載っていそうな本を漁ったというから、筋金入りの妖怪馬鹿といえる。
そして、黒さんのように文献から妖怪を探して楽しむ人は、いやでも民話に詳しくなっていくのが普通だ。民話のパターンがつかめてきて、タイトルだけで内容が分かるようになってくる。たまにパターン破りのフリーダムな民話に出会うことがあり、気になって思わず読んでしまう。そんな民話は大体「ひどい民話」であることが多い。
ひどい民話とは、昔話・伝説・世間話といった口承文芸のうち、あるはずのオチがなかったり、理不尽で不条理な展開を見せたり、とてつもなく下品だったりと、思わず「ひでぇ」と呟いてしまう話のことをいう。
内容が内容だけにひどい民話は万人受けしないものの、たまたま黒さんや自分にとっては好物の類だったわけである。
ちなみに「ひどい民話を語る会」とは、黒さんをはじめ、作家の京極夏彦さん、妖怪研究家の多田克己さん、そして自分と、妖怪馬鹿&ひどい民話好きの四人が、それぞれひどいと思う民話を持ち寄って語るだけのイベントである。『怪と幽』(KADOKAWA)主催で今までに三回行われ、そのうち二回分は書籍化されて版を重ねている。

妖怪とひどい民話は同じ文献から拾い出されることが珍しくなく、お好きな人にとっては正に一石二鳥といえる。さらにいえば、妖怪とひどい民話をミックスしたような〝ひどい妖怪〟も、同じく頁の隙間に潜んでいる。こんな素敵なコラボレーションを、妖怪とひどい民話をこよなく愛する者が放っておくわけがない……。
以上のような背景がありつつ、ムー編集部の粋なはからいで〝ひどい妖怪〟をテーマとする対談が実現し、下品でどうしようもない妖怪や、妖怪譚だと思ったらただの鬼畜譚だった──といった話を語り合うことになったのだった。
昨今の妖怪人気のおかげでか、最近は郷土資料に埋もれがちだった妖怪たちが注目されはじめている。これには黒さんがやってこられた丹念な調査が、少なからず影響していることだろう。そして、無視されがちだったひどい民話も、「ひどい民話を語る会」のイベントや書籍を通して、面白さの再発見に繋がっている。
ひどい民話の次に注目を浴びるのは、案外、〝ひどい妖怪〟なのかもしれない──という感じで締めくくろうと思ったものの、そんなことは多分ないので、やはりコソコソと楽しむくらいがオチなんだろう。
*対談の模様は「怪と幽」(Vol.013 2023年4月号)でも掲載されます!
https://kadobun.jp/kwai_yoo/
村上健司
妖怪探訪家、ライター。お化け友の会世話役。日本全国の妖怪伝承地を巡っている。
関連記事
映画『樹海村』公開記念! 樹海とコトリバコの呪力と生命力/清水崇・吉田悠軌
自殺の名所としても知られる「樹海」には、死にきれなかった者たちが集う「樹海村」があるーー。 『犬鳴村』に続いて、有名都市伝説の映画化を成し遂げた清水崇監督と、都市伝説ルポルタージュの第一人者、吉田悠軌
記事を読む
節分の夜は便所には行かぬこと……妖怪「カイナデ」が迫る赤青の選択/黒史郎・妖怪補遺々々
2月といえば節分! そこで季節感に合わせて今回は。節分の夜に現れる妖の話を補遺々々しましたーー ホラー小説家にして屈指の妖怪研究家・黒史郎が、記録には残されながらも人々から“忘れ去られた妖怪”を発掘す
記事を読む
海老野心と窪田彩乃と小野健斗の心霊体験がまさかのシンクロ! 『真・事故物件2』インタビューで発覚した恐怖
いま注目の映画『真・事故物件2—全滅—』。前作を上回る過激さがウリの本作でW主演を果たした、女優の窪田彩乃と海老野心に起きた“撮影後の異変”とは――?
記事を読む
13年ぶりの新作がスタート!「宗像教授世界編」の新たな舞台はギョベクリ・テペから
古参も新規も必読の新章開幕!
記事を読む
おすすめ記事