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エジプト・ギザのピラミッド上空で何が起こっているのか。最新鋭のレーダーが、ピラミッド上空に発生した「プラズマバブル」を観測していた――。
古代エジプト時代に建造されたギザのピラミッド。一般的には王の墓とみなされているが、どのようにして作られたのかは今も完全には解明されておらず、謎に包まれている。
4500年前の人々がいかにしてこの精緻で複雑かつ巨大な建造物を作り上げたのか、特に巨石を積み上げた手法については、当時の土木技術を考慮すると不可能とさえ思える面もあり、科学者、考古学者、歴史家たちを今も困惑させ続けているのだ。

この謎だらけのギザのピラミッドに、さらに意外な事実が判明した。なんとピラミッドの上空約300kmの電離圏で、巨大な「プラズマバブル(Plasma Bubble)」が発生していたのだ。
プラズマバブルとは、高度約60〜1000kmの電離圏において電子が急激に失われることで出現する泡状の現象で、数百kmの範囲に広がることもある。このプラズマバブルは、GPS信号や衛星通信に障害を引き起こす可能性があることでも知られている。
プラズマバブルの観測は通常、地球全体を観察するために宇宙から行われる。地上から観測することもできるのだが、単純に地上の曲率のためレーダーでは地平線の先にあるターゲットを特定することが難しい。
しかし、中国科学院が海南島に昨年設置した最新鋭のレーダーシステム「LARID(低緯度長距離電離圏レーダー)」は、地球の上層大気に発生するプラズマバブルを9600km離れた場所まで検出できる画期的なレーダーである。このLARIDにより中国は電離圏研究のリーダーとなり、プラズマバブルをリアルタイムで追跡できる世界で唯一の国となったことが主張されている。
そして昨年11月4日から6日にかけて太陽嵐が起きたのだが、報告書によるとこの期間にLARIDはエジプトのピラミッド上空で巨大なプラズマバブルを検知したことが示されている。この時のプラズマバブルはリアルタイムで観測され、詳細な形成プロセスと動向がモニターされたということだ。
研究者はこのようなレーダーのネットワークを構築することは、これらのイベントの監視にとって革命的であると示唆し、研究論文を今年8月に「Geophysical Research Letters」で発表した。
「この結果は、将来的に3基から4基のOTH(Over-The-Horizon)レーダーネットワークを構築するための有意義な洞察となり、地球規模のプラズマバブルをリアルタイムで把握できる可能性を秘めている」(研究論文より)
どうやらピラミッドの上空ではプラズマバブルが発生しやすいことが浮き彫りになったのだが、ピラミッドのなにが影響を及ぼしているのだろうか? いわゆるピラミッドパワーの影響なのか? そして古代エジプトの人々はこのことを知っていたのか? ピラミッドの謎がまたひとつ増えたことになる。
プラズマバブルは季節ごとに変化し、太陽活動の影響も色濃く受けている。プラズマバブルの場所、サイズ、タイミングなど複数の要素を予測する能力を獲得することは、通信衛星の混乱を減らすために今後きわめて重要になる。

その意味で、LARIDは画期的な成功を収めたといえるが、一方で軍事的にも大きな意味を持つといわれている。
これまで海洋上で大規模かつ継続的に観測できる軍のレーダーシステムは存在しなかったため、早期警戒や包括的監視能力は限定されてきた。しかし中国軍が導入したLARIDのレーダー技術は、報告によるとF-22のようなアメリカ製の最新世代ステルス戦闘機の検出にも成功している。また、中国軍は南昌級駆逐艦(055型駆逐艦)などの新しい軍艦にも、LARIDの技術を用いたレーダーを搭載しているのだ。
LARIDのレーダーはステルスコーティングを貫通する波長を利用し、数百キロメートルの規模で検出範囲を拡げられる可能性があり、早期警戒能力を著しく強化できるという。とすれば、LARIDの適用拡大は中国側の一方的なアドバンテージに繋がる可能性もあり、手放しでは喜べない。
エジプトのピラミッドの新たな謎が判明した一方、今後のLARIDの動向にも気を留めておくべきなのだろう。
【参考】
https://www.iflscience.com/chinese-radar-spots-plasma-bubbles-over-the-pyramids-of-giza-75896
https://www.eurasiantimes.com/n-china-boasts-worlds-most-powerful-radar-detects/
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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