富士王朝 超古代史文献に記された富士山麓の王朝/世界の新七不思議
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謎の言語が刻まれた石片「シンガポール・ストーン」が解読される日は来るのか――。暗号解読の専門家ですらお手上げの“難問”に挑むための鍵を握るのは、AIであるという。
「シンガポール・ストーン」は、もともとシンガポール川の河口にあった3メートル四方の大きな石板で、現在は残された破片が現地の国立博物館に展示されている。この石板には、約50行にも及ぶ“謎のテキスト”が刻まれていたという。
石板が作られたのは10~13世紀と考えられており、謎のテキストは今も解読されていない。最近の理論では、碑文は古代ジャワ語またはサンスクリット語である可能性が指摘されており、この時代のシンガポールがマジャパヒト文明に属していたことを示す貴重な資料かもしれないという。

マジャパヒト王国は、1293~1478年までジャワ島中東部を中心に栄えたインドネシア最後のヒンドゥー教の王国で、最盛期にはインドネシア諸島全域とマレー半島まで勢力下に置いたとの説がある。一方で、実際にはジャワ島中東部のみを支配したにすぎないとの説もあるなど、まだまだ不明点も多い。
石板の作成を依頼したのはスマトラ人だった可能性が高く、シンガポール川の河口に巨大な石を投げたとされる14世紀の怪力の英雄、バダン(Badang)の伝説と関係があるかもしれないという。バダンが亡くなったとき、時の王は「シンガプーラ(Singapura)海峡の先」にある彼の墓の上に、2本の石柱を立てるよう命じたとされる。
シンガポールに進駐したイギリス軍は1843年、河口を拡げるために躊躇なくこの石板を爆破し、新たに要塞を建設した。石板の歴史的価値を重んじ、破壊に反対していたとされるスコットランド軍将校のジェームズ・ロー中佐は、現場から破壊された石板の3つの破片を探し集め、カルカッタにある王立アジア協会の博物館に送った。
1918年、シンガポールのラッフルズ博物館はカルカッタの博物館に破片の返還を要請し、破片の1つが返還された。現在、シンガポール国立博物館に展示されているこの石板は、2006年1月に同博物館によりシンガポールの国宝(全11点)の1つに指定され、またシンガポール国立文化財庁により、同博物館のコレクションにあるトップ12の工芸品のうちの1つにも指定されている。
ともあれ、こうして破片が学者の目にも触れるようになったのだが、碑文が何語で書かれているのか専門家にもわからなかった。その書記体系は独特で、これまで知られているどの言語にも見られないものとされ、今なお解読の糸口さえつかめていないのだ。
ともあれ、この碑文の文字は現代の言語解読における大きな謎の1つとされ、暗号と歴史言語学における難攻不落の難問でもあり続けている。
石板の残りの部分はほぼ完全に失われているのだが、不幸中の幸いというべきか、破壊される前の1837年に政治家のウィリアム・ブランドと言語学者のジェームズ・プリンセップによって石板の全体が手書きで模写されていた。また、カルカッタに送られる前の3つの破片の模写も行われている。
プリンセップのほかにも、「東インド会社」の行政官でシンガポールの建国者でもあるスタンフォード・ラッフルズ卿もまたこの碑文の解読に挑んだが、いずれも果たされることはなかった。
中国江蘇省蘇州の西安交通リバプール大学(Xi’an Jiaotong-Liverpool University)の言語学准教授、フランチェスコ・ペローノ・カチャフォコ氏によると、暗号言語学の一般的な認識では、比較、頻度分析、パターン認識のためにテキストが多ければ多いほど、解読できる可能性が高くなるという。
当然ながら逆の状況は失敗につながるが、シンガポール・ストーンはまさにこのケースで、つまり比較対象もなく、パターン認識も難しい――“解読不可能”を暗示しているというのだ。
とはいえ、人間の創意工夫は以前にもこのような困難を克服してきた。1952年、建築家のマイケル・ヴェントリスは、解読不可能と考えられていた古代ギリシア語である「線文字B(Linear B)」の解読に成功した。
ヴェントリスのケースから、このシンガポール・ストーンの解読にも一縷の望みがあるともいえるのだが、カチャフォコ氏の研究チームは、碑文の残存文字を「学習」し、テキストの欠落部分を推測して詳細化できる人工知能プログラム「Read-y Grammarian」を現在開発中であるという。
人間とは異なり、このプログラムには解釈バイアス(研究者の信念に基づく認知バイアス)がないため、言語解読の研究にとって有利に働くということだ。
AIの強力な支援によってシンガポール・ストーンの碑文が解読される日がやってくるのだろうか。その暁に明らかになる碑文の内容もまた、興味深いシンガポール史の一幕となるに違いない。
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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