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「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
竹下節子 著
エゾテリスム史を辿り、オカルト事情をレポート
長きにわたり、主流派の宗教や科学の裏で「通奏低音」のように連綿と受け継がれてきた「オカルト」。従来の価値観が根こそぎ崩壊した21世紀の現代にあって、それは「決定的な変質期を迎えている」。著者はいう、先の見えない混沌の中に光明を見出そうとする人々にとってオカルトは「〈忘れられた宗教〉、〈失われた精神世界〉への無意識の郷愁と穴を埋めるものとなっていった。それが〈オカルト2.0〉だ」と。
本書は、「ヘルメス文書」に始まる西洋オカルト史を丹念に辿りつつ、現代における「オカルト2.0」の実体を、詳細に描き出す渾身のレポート。論述は、日本のオカルト・シーンでは語られることの比較的少ない、フランス系のオカルト史が中心で、ユリウス・エヴォラやルネ・ゲノンらの名前が出ると思わず嬉しくなる。
また、パリで活動したメスメルと彼の動物磁気には、かなりのページ数が割かれているので、メスメル・ファンは必見。著者・竹下節子氏は比較文化史家にしてバロック音楽奏者。パリ大学を経て、高等研究所でカトリック史、エゾテリスム史を修める。現在はパリ在住。
良書傑作が目白押しの創元社〈叢書パルマコン・ミクロス〉の一冊であり、中沢新一氏をして、「オカルトという言葉に本格的な解明の光を当て、文化としての正当な位置づけを回復しようとした勇気ある書物!」と激賞せしめたほどの傑作。本誌の全読者に衷心よりおすすめする。

(月刊ムー 2024年8月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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