生者による死者の語りを巡る「幽霊」対談! 「日本怪異幽霊事典」×「教養としての最恐怪談」
この夏、時を同じくして世に放たれた『日本怪異幽霊事典』と『教養としての最恐怪談』。幽霊とはなにか? 怪談の核とはなにか? をひもといた両書の著者による、最恐の幽霊対談が実現!
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宇佐和通 著
ネットロア――それは、ネット上で展開される「奇妙な話の現時点での最終進化形」
世話をしている子供をオーブンで焼き殺す「ヒッピー・ベビーシッター」。ピアスの穴から出てきた糸を引っぱって失明する「ピアスの穴の白い糸」。民主党の大物議員たちが国際的な児童人身売買と小児性愛組織に深く関与し、脳内麻薬アドレノクロム採取を目的に大量殺人に手を染める「ピザゲート」。はたまた、ドナルド・トランプの大統領就任やコロナウイルスの蔓延、アメリカ同時多発テロといった未来の事象をことごとく的中させたというアニメ「『ザ・シンプソンズ』の予言」。
こうしたたわいのない噂話や都市伝説の類いは、大昔から存在したが、かつてはその媒体は、もっぱら口伝が主流であった。
これに対して近年、そうした噂はメールやSNSといった「ネット媒体」を通じて拡散されるのが主流。特に「ウィンドウズ95が普及した1995年」以後、その伝達のスピードも拡散範囲も、それ以前と比べて文字通り桁違いに進化した。主としてネット上で展開されるこうした「奇妙な話の進化の過程」全体が、一般的に「ネットロア」と呼ばれている。
さらに「AI時代」を迎えた現在、「ネットロア」は従来のような「言葉」による伝達に、AIの生成する画像や音声、映像などが加わり、リアリティが著しく増大、ネットロアとフェイクニュースの境界も曖昧となり、今後「虚実の区別はいよいよ難しく」なっていくという。
本書は、現在巷にあふれる多種多様なネットロアを「ジャンル別に集め、紹介していくという趣の一冊」。「最新のネットロア」に始まり、「ベビーシッター・ロア」「メディカル・ロア」「キャラ系ロア」「ダークなロア」「ゲームロア」「不条理なネットロア」「陰謀論系ロア」「進化し続けるネットロア」、そして「古くて新しいネットロア」まで、全部で50項目のネットロアが紹介され、解説と考察が加えられている。
著者の宇佐和通氏は、海外生活経験が豊富な著作家・翻訳家であり、「世界の都市伝説・陰謀論研究の第一人者」にして自称「ディバンカー」。
先般の本欄(2024年4月号)でも、陰謀論の世界を通覧する必読書である『陰謀論時代の闇』をご紹介したばかりである。ぜひ、本書と併せてお読みいただきたい。

(月刊ムー 2024年8月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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