人身御供を行った古代フェニキアの秘密儀礼とは?「邪神モレク」の神殿/鈴木革
風光明媚な景観で知られる地中海沿岸。かつてその多くの地域には、高度な海洋航海技術や交易を誇る都市国家で構成された一大文明が栄えていた。古代フェニキア文明──。だが、その繁栄の奥に潜む闇には恐るべき邪神
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「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
津本英利 著
ヒッタイトについての、包括的かつ詳細な情報が掲載
高校の世界史の授業で習う「ヒッタイト」に関する知識といえば、人類史上初めて「鉄器」を生み出し、その優位性によってエジプトとも互角に戦う勢力となったが、「海の民」と呼ばれる謎の民族に滅ぼされた、といったところだろうか。
だが、学問の世界は日進月歩。近年では、ヒッタイト関係の粘土板の解析や遺跡の発掘も進み、この古代帝国の歴史や文化の全貌が、明らかになりつつある。
とはいうものの、一般人がふとヒッタイトやアナトリアに興味を抱いて、いざその歴史を知ろうとしても、これまではどうしても学術的な専門書や英語の本しかなく、なかなか素人には手を出しにくい状況にあった。そこに登場したのが、本書である。
著者の津本英利氏は考古学者で、現在は池袋の古代オリエント博物館研究部長を務めておられる。ドイツ留学時代には、実際にヒッタイト遺跡の発掘にも従事している。
本書においては、そんな著者の学問的良心の汪溢する質実剛健な文体で、ヒッタイト人の起源から、帝国の建国から滅亡までの歴史、ヒッタイトの国家と社会、宗教と神々、そしてインフラや人々の暮らしまで、包括的かつ詳細な情報が提供されている。特に、ヒッタイトといえば鉄、という固定観念が覆されるあたりは評者もうならされた。やはり何ごとにも、知識のアップデートは必要。本書の登場には感謝しかない。

(月刊ムー 2024年5月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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