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後古典期マヤの遺跡として、1988年に世界遺産に登録されたチチェン・イッツア。メキシコ南部、ユカタン半島付け根のジャングルに位置するこの遺跡は、廃墟となった今も世界中の人々を魅了しつづけている。
チチェン・イッツアはマヤ語で「泉のほとりのイッツア人」、あるいは「聖なる泉のほとりの水の魔法使い」の意味だという。言葉のとおりこの都市は、ユカタン半島最大のセノーテ(聖なる泉)を中心に繁栄し、200年以上にわたり、この地における芸術、宗教、経済の中心となっていたのだ。
そのためここには、ピラミッド型の神殿をはじめ、球戯場やカタツムリ型の天文台など、数多くの歴史的建築物が残されている。なかでも代表的な建物が、9世紀初頭に完成したとされる神殿ピラミッド、エル・カスティージョだ。


高さ24メートルのこのピラミッドは、9層の基壇から成っている。周囲の4面にはすべてに急傾斜の階段が設けられているのだが、それぞれの段数、基壇部の垂直面の浮き彫りには、マヤの農耕暦と祭事暦が記されている。まさに巨大な暦なのだ。
注目すべきは北側階段で、最下部にはマヤの至高神・創造神であるククルカンの頭が置かれており、年に2回、春分と秋分の日にはこの蛇神の胴体が階段部に光と影となって出現するという、壮大な仕掛けが施されている。すなわちこの日、太陽の位置によって変化する光の形は、あたかもククルカンが生きて動いているようにその姿を変えていくのである。
そのことだけでも、彼らがいかにすぐれた天文学的知識と、それを建築として具現化させる高度な技術を持っていたことがわかる。
いうまでもないが、今のこの季節、つまり3月下旬は、それを目にできる絶好のチャンスとなる。そこでチチェン・イッツアへの行き方だが、ユカタン州の州都であるメリダから、バスで2時間〜2時間半の距離。ツアーを利用するのが一般的な方法となる。


(月刊ムー 2024年4月号掲載)
中村友紀
「ムー」制作に35年以上かかわるベテラン編集記者。「地球の歩き方ムー」にもムー側のメインライターとして参加。
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