成功者の8割が積極的にお参りをし、使命を授かる!/強運体質になる神社参拝法
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第一次世界大戦直後のフランスで起きたシュルレアリスム運動で「自動筆記の女神」と称され讃えられえた霊能者、エレーヌ・スミスとはいったい何者であったのか――。
1920年代にフランスで起こった文学・芸術運動「シュルレアリスム」の中心人物の一人、作家のアンドレ・ブルトンが1924年に発表した『シュルレアリスム宣言』では、無意識の探求・表出による人間の全体性の回復が標榜された。シュルレアリスムの柱となる表現形式が「自動筆記(オートマティスム)」であり、これは理性による監視をすべて排除し、美的・道徳的なすべての先入見から離れた思考を書き綴る試みである。
ブルトンが注目した自動筆記の実践者こそがフランスの霊能力者、エレーヌ・スミス(1861~1929)だ。後に彼女は「自動筆記の女神」と称され、シュルレアリスムのアイコンにもなった。
ハンガリーの商人の娘であるエレーヌは、商店の従業員として働いていた一方、1891年にスピリチュアリズムに目覚め、スピリチュアリストたちのサークルに参加するようになった。仲間の信者によると、彼女は1892年から霊媒的能力の証拠を示し始め、作家のヴィクトル・ユゴーやオカルティストのカリオストロと交信していることを明かしたという。
さらにはヒンドゥー教の王女と、マリー・アントワネットの生まれ変わりであり、火星人と交信しているとも主張していたエレーヌは、1900年にジュネーブ大学心理学教授、テオドール・フルルノワ(1854~1920)による著書『インドから火星へ』で紹介されて有名になった。
同著では、エレーヌのさまざまな一連の経験が「ロマンチックなサイクル」という観点から記録されている。各サイクルは 「火星」、「ウルトラ火星人」、「ヒンドゥー教」、「東洋」、「王室」といったもので、エレーヌはそれぞれのサイクルでトランス状態となり、チャネリングを行っていたのである。
エレーヌは「火星サイクル」の中で、火星の環境と住民について説明している。彼女のビジョンの中では、火星は自動運転車両や飛行機などのさまざまな未来の車両や乗り物などが行き交う街があり、ほぼアジア人に見えるヒューマノイドが住む世界である。ヒューマノイドのほかにも、キャベツのような頭をもつ犬によく似た生き物もいて、主人の命令で狩りをしているという。
「火星サイクル」の時のエレーヌは、火星人との通信を“火星語”で紙に書き出してフランス語に翻訳したのだが、これが自動筆記であると見なされて前出のブルトンらの注目を集めた。こうしてエレーヌはスピリチュアル界にとどまらず当時の欧米で広く知られる存在となったのだ。
エレーヌは稀代のチャネラーであり、自動筆記者であったということになるのだろうか。
エレーヌは自分を有名にしたフルルノワ教授と徐々に離れていき、ある時点で完全に袂を別った。
それに代わってエレーヌはアメリカのスピリチュアリストたちからの後援を受けるようになり、エイリアンとキリスト教を融合したスピリチュアリズムの影響を強く受けていった。
フルルノワ教授は、エレーヌの性格と言葉は潜在意識の空想の産物であり、多種多様な退行行動を表していると説明している。さらに、トランス状態での物語の複雑さと奇妙さは、その真実を示すどころか、聞き手の想像力を満足させたいというチャネラーの潜在意識的な欲求を示していると主張したのだ。つまり、エレーヌは相手の興味を惹きつけるよう面白がらせていたというのである。
さらにフルルノワは、彼女の“火星語”は母国語であるフランス語に単語と構文の構造がきわめて似ていることを指摘し、エレーヌの自動筆記は「主に忘れられた情報源(例えば子供の頃に読んだ本)から得られた潜在意識の想像力のロマンス」であると結論付けた。そして、この現象を説明するために「クリプトムネジア(cryptomnesia)」という用語を考案したのである。
定義によれば、クリプトムネジアとは、忘れられて隠された記憶であり、その記憶が再現された際に、それがまったく新しい体験やアイデアであると当人が誤認する現象であるという。
つまり、フルルノワはエレーヌの言動は、すべて過去の体験や記憶に基づいた想像力の産物であり、当人にはそれが理解できていないというのである。たとえば、「ヒンドゥー教」のサイクルでチャネリングした時にエレーヌがアラビア語で書いた短いフレーズは、ジュネーブの医師が所有していた本に記されていた同じフレーズを過去に見た記憶に由来していることが証言などから突き止められたという。
フルルノワによると、エレーヌは読んだり聞いたりしたことすべてを思い出すことができる抜群の記憶力を携えていただけでなく、想像力と優れた語りの能力を駆使して、彼女の前世についての素晴らしい物語を紡ぎ出したり、他の惑星を訪れた体験談を即興で作り上げることもできたという。
1987年の『王立国立医学アカデミー年報』によると、こうしたスキルはそれほど珍しいものではなく、非常に感受性が強く、影響を受けやすい人々の中には、催眠術師がいなくても、それらの記憶を呼び起こし、空想、想像、創作と混ぜ合わせて新たなストーリーを語る人々がいることが示されている。

また、1952年に心理学者のドノバン・ロークリフによってエレーヌの一件は詳しく調査され、それによればエレーヌは空想しやすい性格であると共にヒステリックな幻覚に悩まされていたことが報告されている。
はたして、エレーヌは稀代の霊媒師であったのか、それとも才能に溢れた夢想家であったのか。あるいはこの頃に勃興したシュルレアリスムと、第一次世界大戦直後という時代の影響もあったのだろうか。いずれにせよエレーヌ・スミスという“現象”はいくつもの角度からアプローチできる興味深い研究対象であることは間違いない。
【参考】
https://www.infinityexplorers.com/helene-smith-woman-claimed-visited-mars-1894/
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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