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サンタクロースの起源として知られるクランプスをはじめ、冬至の来訪神を紹介。おそろしい彼らがもたらすのは春に向けた豊穣である。
2023年も残りわずか。世間はクリスマスムード一色であるが、12月25日にやってくるのはサンタクロースだけではない。

古くからヨーロッパの伝承に登場する恐ろしい姿の魔物がいる。「クランプス」である。
普段は暗く湿った地底で暮らしているクランプスだが、12月5日になると2週間の間、夜な夜な地上に現れては錆びた鎖を持ち、荒々しく鐘を鳴らしながら街を徘徊するのだ。
そしてクランプスに見つかった悪い子供は地底世界へと連れて行かれ、喰われてしまうのだという。

伝えられるクランプスの姿は2種類。体中黒い毛に覆われ、大きな角と長い舌、鋭い爪を持った半ヤギ半悪魔か、または長い白ひげをはやした老人のような姿である。
興味深いのは中央ヨーロッパと北ヨーロッパで伝えられる姿が変わるところだろう。オーストリアへ近づくに連れ、角が生えた恐ろしい顔に藁ミノをまとった姿ーー秋田県男鹿半島で大晦日の夜に現れる「なまはげ」に酷似していくのだ。

北半球において12月21日または22日の冬至は、太陽の照る時間が最も短くなる日である。冬至は生命の象徴である太陽の力が最も弱くなる日=死に最も近い日であり、古より地上の生命力が衰えたこの時期は、異界の扉が開くと信じられてきた。
特に、キリストの降誕の日として設定された12月25日から東方の三博士がキリストを訪問した1月6日の公現祭までは、魔女、妖精、悪霊など魑魅魍魎が現れる。イタリアの魔女ベファーナ、北欧の妖精ユール・ニッセやユール・トムテの他、聞き分けのない子供の内蔵を抜き、石を詰めるペルヒテンや、子供を切り刻み茹でて食べるグリーラ、ムチで叩き森へ捨てるハンス・トラップといった、「ブラック・サンタ」や「クリスマス・モンスター」と呼ばれる魔物までもが地上を跋扈するのだ。

太陽の力が弱くなる時期に現れる異界からの訪問者達ーー。
日本では神聖な場所や自然界に常に存在している神々とはまた別に、ある決まった時期だけ現れる神々を来訪神と呼ぶ。大晦日の夜にだけ現れる「なまはげ」もまた無病息災、五穀豊穣を象徴する来訪神だ。とすれば、サンタクロースや、ブラック・サンタなどの魔物らもまた来訪神の一種なのだろうか。
異界の扉が開くというこの時期に「来訪者」をどう迎えるべきか。それは我々が属する共同体について考える機会でもあるのだ。

遠野そら
UFO、怪奇現象、オーパーツなど、海外ミステリー情報に通じるオカルトライター。超常現象研究の第一人者・並木伸一郎氏のスタッフも務める。
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