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自生するミモザのトゲが十字架の形になる「奇跡の樹」。メキシコのサンタクルス教会は強烈なキリスト教のパワーを語る歴史があった。
古くから信じられている神の力=奇跡。これまでも様々な奇跡が報告されているが、メキシコ・ケレタロ州にあるサンタ・クルス修道院の中庭には「奇跡の十字架」として知られる伝説の樹がある。

修道院奥に1697年、当時サンタ・クルス修道院の院長であったフレイ・アントニオ・アルギル・デ・ヘススの杖が成長した大樹だと信じられており、カトリック教会でも認められた奇跡である。
しかもこの樹は、枝の先が「十字架の形」になっているのだ。
トゲのある枝先が十字になるだけでなく、イエス・キリストの両手、両足を打ち付けた釘を思わせるトゲが生えることもあり、「奇跡の十字架」と呼ばれているのだという。



また、この伝説の樹のもとになった杖は「翼の足を持つ宣教者」として知られるヘススが14年間の宣教生活で常に携えていたものであった。このため、枝先より、根や幹に近い部分の枝のほうが貴重で神聖とされている。


近年の調査の結果、この樹はアフリカでしか自生しないミモザ科の種であることが判明している。となれば、なぜ遠く離れたメキシコに生えているのかは謎だ。花も咲かせず、実もならない不思議な樹だが、取り木で増やそうとしてもすぐに枯れてしまうそうだ。
まさに奇跡としか言いようのない謎の樹だが、サンタ・クルスの奇跡はこれだけではない。修道院に隣接するサンタ・クルス教会でも、ある奇跡が記録に残されているのだ。

地元では「聖十字架教会」として親しまれるサンタ・クルス教会だが、その歴史は古く、スペイン入植時代にまでさかのぼる。
1521年からスペイン入植が始まりアステカ帝国が滅ぼされると、ここケレタロ州でも先住民族とスペイン人との間で激しい戦いが起きた。しかし、1531年7月25日。サングレマル丘の上空に、突如、光り輝く使徒サンティアゴ(聖ヤコブ)と巨大な十字架が現れると、瞬く間に先住民族はスペイン軍に降伏、キリスト教へ改宗することになったのである。そこでスペイン軍はこの勝利を記念し、サングレマル丘にあった先住民族の神殿を壊して、新たにサンタ・クルス教会を建立したのだ。

今では歴史史跡地区として街全体が世界遺産に認定されているコロニアル都市であるが、古い血の歴史も多い。しかしながらケレタロではスペイン人と先住民族が共存して暮らしたことで、「ケレタロ流バロック」という独自の建造物が生まれ、街の中央を通る1280メートルの水道橋は特に有名であろう。個人的にはこれも奇跡が起こした、奇跡の共存のように思う。

世界各地で様々な奇跡が報告されているが、謎多きメキシコだけに「ただの偶然」では済まない気がする。キリスト教世界と現地文化の衝突、融合が起きたメキシコは、人類史において特異な場所であることは間違いない。
遠野そら
UFO、怪奇現象、オーパーツなど、海外ミステリー情報に通じるオカルトライター。超常現象研究の第一人者・並木伸一郎氏のスタッフも務める。
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