ハーブ、煙、聖水、音……精霊の力で浄化する/ムー旅メキシコ・呪術編
様々な呪術文化が混在するメキシコ。独特の宗教感が存在し「怪しげ」とも「カオス」とも伝えられているが、その実はただのオカルトとは言い切れない、深い精神世界文化があった。
記事を読む

世界の神話や伝承に登場する幻獣・魔獣の中から悪と乙女を象徴する「ユニコーン」を解説!

「彼女たちはその獣を穀物で養うのではなく、只管に、それが在るという可能性を糧として養った。そしてそれこそが獣にその身から、額の角を生いはやす力を授けたのだ、一本の角を」
かつて詩人リルケはそう歌った。その獣、一角獣とは、紋章などにおいては額に螺旋を描く一本の長い角を生やした馬の姿で表される幻獣である。
一角獣は、おそらくは東洋で生まれた。
古くは『ヴェーダ』の中に一角獣と思しき羚羊に関する記述が見られる。この東洋の幻獣を西洋世界に初めて紹介したのは紀元前4世紀ギリシアの医師・旅行家のクテシアスで、彼の『インド誌』には馬もしくはそれ以上の大きさの、一本の角を持つ「野生の驢馬」がインドに棲息していると記されている。大プリニウスはこれを「最も獰猛な獣」と呼んだ。ことほどさように、初期における一角獣は専ら野蛮、俊敏、傲慢、獰猛、そして悪の象徴であった。
だが中世ヨーロッパのキリスト教世界で、一角獣は美しくも魅惑的な変容を遂げる。あらゆる動物の中で最も獰猛、最も精強と謳われた一角獣に、処女の匂いを好み、それに馴致されるという属性が添加されたのだ。
12世紀初頭の『フィリップ・ド・タオンの動物寓意譚』によれば、美しい処女が肌着を開けて片方の乳房を露出していると、匂いに釣られた一角獣が近づいて来て、頭を膝の上に載せ、そのまま大人しく眠ってしまう。ただし、もしもその女が処女でなかった場合、一角獣はすぐさまこれを見破り、女を食い殺してしまうというのである。
この一角獣と処女の神秘的なイメージは容易に聖母マリアの処女懐胎の逸話にも転化しよう。すなわちここで遂に一角獣はキリストの象徴ともなったのだ。一方、この不思議な結合の中には聖性と同時にまた、官能的な人獣交媾のイメージを見出すこともできよう。
かつて一角獣の実在を信じていたヨーロッパの王侯貴族は、毒を無力化すると称されたその角を入手するために万金を投じた。リルケの歌った如く、幻獣の角に現実の力を授けたのは、この邪悪にして神聖、清浄にして官能的な伝説の獣が存在するという可能性と、それを信ずる人間の精神に他ならなかったのである。

松田アフラ
オカルト、魔術、神秘思想などに詳しいライター。
関連記事
ハーブ、煙、聖水、音……精霊の力で浄化する/ムー旅メキシコ・呪術編
様々な呪術文化が混在するメキシコ。独特の宗教感が存在し「怪しげ」とも「カオス」とも伝えられているが、その実はただのオカルトとは言い切れない、深い精神世界文化があった。
記事を読む
5つのシンボルに最高神の力が降臨!/ヘイズ中村「オーディンの開運魔術」第2回
魔女にして魔術師・ヘイズ中村さんによる開運魔術の第2回。今回は、「ムー」10月号の付録になっている5つのシンボルの意味と効能についてお伝えしていきます。
記事を読む
〈花札占い〉目まぐるしい運気に翻弄される!?/2023年6月の情勢と生まれ月別の運勢
日本固有のカード「花札」は、少なくとも80年以上前から、占いにも使われてきました。その技法を復活させた占い師・ZEROさんが、今月のあなたの運勢を占います!
記事を読む
意図せず身体が動き、霊的な才能が伸びる! 心身強健・霊的覚醒へと導く神秘の技法「霊動法」基本編
霊学、古神道、神仙道の研究家であり、大東流合気柔術玄修会を主宰する大宮司朗師が、初心者でも容易に実践可能な「霊動法」を手ほどきする。
記事を読む
おすすめ記事