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田中英道 著
これまでの義経=チンギス・ハーン説とひと味違う
「判官贔屓」という言葉があるほどに、日本人は昔から源義経が大好きである。 平氏との争いで八面六臂の活躍をした英雄でありながら、兄の頼朝に嫉まれ、いろいろあって、ついには自刃するという悲劇性は、多くの日本人の心の琴線に触れてきた。
その義経が、実は衣川館で死んではおらず、東北から蝦夷へ落ち延び、最終的には大陸に渡ってチンギス・ハーンとなったという「義経=チンギス・ハーン」説は、明治の中ごろから人気を博するようになる。ドイツ人医師フランツ・フォン・シーボルトらも、これを支持していたという。
ところが戦後、GHQが課した日本人の「自虐史観」の中でこの説は意図的に忘れられ、あるいは荒唐無稽な偽史・奇説として、一蹴されるようになってしまう。
本書は、このような現状の下で、60年以上にわたって、西洋史と日本国史の研究に携わってきた知の巨人である著者が、長年の美術史研究で培った「フォルモロジー(形象学)」を武器に、今一度この壮大な仮説に光を当てんとする試みである。
さて、著者の田中英道氏といえば、独自のユダヤ人渡来説でも知られている。本書においても、この「田中史観」のエッセンスが採り入れられ、これまでの「義経=チンギス・ハーン説」とはひと味違う、説得力あふれる痛快な論考が繰り広げられる。文字通り、「世界史を変える」一冊といえよう。

(2023年12月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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