カナリア諸島に浮かぶ幻の島「聖ブレンダンの島」ミステリー! 正体は巨大クジラの背中だった!?
航海中の聖職者によって発見され、一度は地図にも載ったが、その存在が確認されていない島がある。カナリア諸島の端に浮かぶ幻の島の伝説とは――。
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都市伝説には元ネタがあった。化け物を退治した実在とされるあの稲生平太郎が登場。
2023年9月1日、ディズニーのアトラクションを原作とした映画『ホーテッドマンション』(ジャスティン・シミエン監督)が公開された。
これはシングルマザーのギャビーと息子のトラヴィスが破格の条件で館を手に入れるが、そこは、999人のゴーストが住むという「呪われた館」だった。この個性豊かなゴーストたちに。ギャビーらの連絡を受けてやってきた心霊エキスパートたちが立ち向かう、という物語だ。
また、1週間後の9月8日には中田秀夫監督の映画『禁じられた遊び』が公開された。
清水カルマの同名小説を原作とした作品で、そのあらすじは以下のようなものだ。妻子と仲睦まじく暮らしていた伊原直人は、あるとき、突然の事故で妻、美雪を失ってしまう。しかし息子の春翔が美雪の指を庭の家に埋め、「エロイムエッサイム」と呪文を唱えて復活させようとする。呪文は直人がかつて冗談で教えたものだったが、それが怪異を呼び覚ましてしまう。
このように、家という安全であるはずの空間に現れる怪異の話は多い。
都市伝説においても、たとえば2002年にネット上に書き込まれた「カン、カン」という話がある。これはある女性が住む家に現れた化け物の話で、腰のあたりまで髪を伸ばし、白い着物を着て、手に鈍器のようなものを持った女の姿をしているという。この怪女の目には眼孔に収まる大きさの鉄釘が刺さっており、女性が小学生のころ、彼女に対し「あなたも……あなたたち家族もお終いね。ふふふ」という無気味な言葉を告げたという。
以降、怪女はこの家に居座りつづけていたらしく、8年の歳月がたっても現れた。2010年に後日談として書き込まれた話によれば、怪女を恐れて家を出た女性が実家に帰省した際には、真夜中になると毎晩のように女性の母親が家を抜け出し、般若のような形相で電柱の下を回るという異様な行動を繰り返していることが語られた。
さらにそれを目撃して家に帰ると、また「カン、カン」という音が聞こえてあの怪女が現れたという。女性は母親の奇行はあの怪女のせいだと考え、近々アパートを引き払うことを検討していると書き込んでいる。
また、家に居座るのではなく、家にやってくる話もある。「ババサレ」という都市伝説は、その話を聞くと老婆が家にやってくるといわれている。このとき、「ババサレ」という呪文を唱えることで老婆を退けることができるのだという。
類似した都市伝説に「オカムロ」というものもあり、こちらは和服を着た人間のような姿をした化け物が家にやってくる。そして戸や窓をこじ開けて侵入してくるが、もしその姿を見ると死んでしまうなどという。これが現れた際には、家の中に入ってくる前に「オカムロ」と唱えると撃退できるとされる。
このように家に現れる怪異はいつの時代にも存在している。特に有名なのは江戸時代、1か月にわたってさまざまな怪異と遭遇した稲生平太郎の物語だろう。

彼の物語は『稲生物怪録』の名で知られているが、多くの諸本がある。ここではその中でも物語の主人公である稲生平太郎(稲生武太夫)が自身の体験談として書き記したとされる『三次実録物語』をもとにその概要を記そう。
寛延2年(1749年)のこと。当時16歳だった平太郎は三次(現在の広島県三次市)に住んでおり、近隣に住む相撲取りの三井権八と比熊山にある城主墓所という場所で肝試しをした。
するとその年の7月1日、平太郎の住む家で怪異が始まった。まず牛5、6匹分はあろうかという巨大な化け物が出た。その頭には縦長で黄色く光るひとつ目がついており、平太郎はこれを退治しようとしたが、逃げられてしまった。
以降、平太郎の家には毎日異なる怪異が現れた。たとえば3日目には逆さまの女の生首が髪の毛を足のように動かして歩くものが出たり、6日目には戸口いっぱいに老婆の顔が現れたりした。14日目には天井いっぱいに老婆の顔が現れ、24日目には体長4尺(約1.2メートル)の蝶が部屋の中に入り込んできた。しかし平太郎はそれらに動じず、無視して寝てしまうような豪胆さであった。
そして30日目の7月30日のこと。平太郎のもとに浅黄小紋の裃を纏い、帯刀した大男が現れた。男は「山本太郎左衛門」と名乗り、自分は三千世界の大魔王であると告げた。
平太郎の家に怪異を起こしたのはこの太郎左衛門で、信野悪太郎というもうひとりの魔王と争っており、格別気丈な人間が16歳になったとき、通力によってその者の正気を失わせ、それが100人に及んだのであれば、その魔王を他の魔王より格上とする、という取り決めをしたため、平太郎を狙ったのだという。
しかし平太郎は特別豪胆であったため、太郎左衛門はついに正気を失わせることができなかった。太郎左衛門は自身の負けを認めた後、もし悪太郎が彼を誑かそうとやってきた際には、この槌を叩けば加勢に参るとひとつの木槌を渡し、去っていった。平太郎はその槌を紙に包み、小屋の隅に埋めたのだという。
これが『三次実録物語』の概要だ。他の諸本では魔王の名が「山本五郎左衛門」などとなっている場合もあり、こちらの名で知られていることも多いだろう。
家というものは人が安心して日常生活を過ごすことができるはずの場所だ。
家に現れる怪異は、その平穏を破壊するある意味最も恐ろしいものだ。しかし平太郎のような豪胆な心を持つことができれば、そんな怪異でさえも返り討ちにできるのかもしれない。

(月刊ムー2023年10月号掲載)
朝里樹
1990年北海道生まれ。公務員として働くかたわら、在野で都市伝説の収集・研究を行う。
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