「ディストピア」ムー2023年4月号のカバーアート/zalartworks
「ムー」2023年4月号カバーアート解説
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取材=松原タニシ 構成=高野勝久

首塚は将門のだけではない!神戸出身の松原タニシが地元の首塚にいってみた。そこからつながるすごいお寺、すごい人たちの数珠つなぎ。
平将門公の聖地をめぐる「ムー旅 平将門 胴と首をつなぐ旅」に参加してきた松原タニシ。旅のラストには首塚で謎のいわくつき人形の首をもらうというプチ怪異のおまけつき。

ところでタニシは神戸市の出身なのだけど、将門の首塚で「そういえば実家の近所にもなんか首塚あったな……」と思い出したものがある。神戸の首塚といえば、

敦盛(あつもり)の首塚。平は平でも、将門ではなく敦盛の首塚が、神戸市須磨区にあった。
平敦盛(たいらのあつもり)は、『平家物語』でも有名な源平合戦の悲劇の武者。まだ16、7という年齢で一の谷の合戦に参戦した敦盛は、味方に合流しようとしていたところを源氏方の熊谷次郎直実(くまがいじろうなおざね)に呼び止められ、ひとり馬を返して一騎打ちとなる。
荒々しい坂東武者との組み討ちに負けた敦盛、首に刀をあてられるのだが、兜をとった直実は相手が自分の息子とかわらない年頃の若武者であることを知る。ためらう直実にむかって敦盛は「早く首をとれ」とうながし、直実も泣く泣くとどめをさす。この一戦で世の無常を悟った直実は、やがて武士をやめて出家する……。1000年もの間日本人の心をとらえ、語り継がれている物語だ。
関西では将門よりもこの敦盛の首塚のほうが有名……というわけでもないのだが、織田信長が本能寺で最後に舞ったといわれる「人間五十年〜」でおなじみの幸若舞「敦盛」も、この逸話をもとにした演目。

そんなわけで、神戸市出身ながらそういえばちゃんと見たことなかったな、と敦盛の首塚のある須磨寺を訪ねてみた。境内には平敦盛と熊谷直実のあの有名なシーンの再現銅像もある。
しかし須磨寺、いってみると首塚以外にもいろんなものがあった。
これは異国風の狛犬。

こちらは「きんぽとん童子」。

などなど(ごく一部です)。自分の不勉強さを知るお寺だ。
お寺つながりで、こんなイベントを見にいきました。H-1グランプリ。H-1しらない?「法話-1グランプリ」だよ!

45歳未満のお坊さんがエントリーできる大会で、お坊さんのお説教「法話」のナンバー1を決めるのだ。審査基準は、またこの人の話が聞きたいと思ったかどうか。世の中にはいろんなグランプリがある。
今度は坊主つながりということで、お坊さんが経営するバー「坊主バー」にも行ってみた。

いちばん右に写っているのが、坊主バーで働くお笑い芸人どどんの石田さん。本物の僧侶でもある芸人さんだ。坊主バーの上に12年間封鎖されているというスナックがあり、そこで配信イベントをさせてもらったのだが、このときお清めのカクテルをもってきてくれたのが、真ん中の人、坊主バー店主の善念(ぜんねん)さん。
善念さんもかなりおもしろい人だ。もとはプロボクサーをしていたのだが、その道を諦めることになり、そこからインドへと旅立つ。そして、せっかくインドにきたんだからすごい人に会いたい、となってマザーテレサを訪ねていくのだ。
しかし、どうにも思っていたマザーテレサじゃなかったな……ということで悶々としているときに、今度は浄土真宗に出会う。そして「マザーテレサより親鸞のほうが俺に合う!」ということで、出家。プロボクサーがマザーテレサを経て浄土真宗のお坊さんになってしまうのだ。やがて「本物の僧侶が運営する気軽に仏教にふれられるバー」をコンセプトにした坊主バーの経営もはじめて、今では二十数年。マザーテレサより親鸞を選んだお坊さんがやっている歴史あるバーとなったのだった。
将門巡りからはじまって、首塚、お寺、お坊さんと「数珠つなぎ」に超人たちを結んだ今回の旅となりました。
動画でのレポートはこちら!
松原タニシ
心理的瑕疵のある物件に住み、その生活をレポートする“事故物件住みます芸人”。死と生活が隣接しつづけることで死生観がバグっている。著書『恐い間取り』『恐い旅』『死る旅』で累計33万部突破している。
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