素通りは許さず… 秋田県由利本荘市の“インディーズ霊場”に潜入! 鬼気迫る霊場主の想いとは?/小嶋独観
珍スポ巡って25年、すべてを知る男による全国屈指の“珍寺”紹介。今回は秋田県由利本荘市の「岩城修弘霊場」。怖いほど伝わってくる熱い想いとは――!?
記事を読む

「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
加門七海 著
仏教と神道の根幹に関わる概念を創りだした平安時代後期の歌人「大江匡房」の謎に迫る
「大江匡房」といえば、一般的には百人一首の73番「高砂の尾の上の桜咲きにけり外山の霞たたずもあらなむ」を詠んだ、権中納言匡房の本名として知られる程度であろうか。
一応、当時は幼いころから神童と呼ばれていたようで、「予四歳の時始めて書を読み、八歳のときに史漢に通ひ、十一歳の時に詩を賦して、世、神童と謂へり」と自叙伝である『暮年記』の中で自慢している。
著者自身もまた、「英雄でもなければ悪党でもない」その生涯を追うことはともかく「退屈」に思える、と述べている。だがなぜか著者は、この男の周辺に蠢く「鬼、土蜘蛛、御霊、傀儡、占い、呪術、陰陽道など」の「奇妙な影」を目ざとく嗅ぎつけ、いつしかこの男そのものを「妖しい存在」と感じるようになってしまうのだ。
そして実際、匡房は存命中から「三帝の師」と仰がれた当代随一の学者にして博覧強記、その言葉に間違いはない、と見なされていたのである。匡房自身、自らの影響力を自覚し、その上で著作等の中にさまざまな仕掛けをちりばめていた、と著者は断じる。
その結果、匡房は標題どおり、「神を創った」。たとえば匡房は、「神道」や「絵馬」などの言葉、さらには神仏習合や本地垂迹といった、仏教と神道の根幹に関わる概念を創りだした。九尾の狐を、妖怪として日本に紹介したのも匡房である。
自らが尊敬する小野篁には地獄往還の手形を与え、吉備真備を異能者に仕立て上げ、そして大江山を鬼の住処として定着させた。その他、この男の「業績」の数々は、ぜひ本書でお確かめいただきたい。
著者である加門七海氏は、「伝奇小説・ホラー小説を執筆するかたわら、オカルト・風水・民俗学などへの造詣を生かしたノンフィクション」も手がける作家。自らも豊富な霊体験を重ねているという。本書はそんな著者が、持てる知識と取材力の限りを尽くして「大江匡房」という怪物に挑んだ、まさに渾身の力作。執筆には10年もの歳月を要したというから、その執念たるやすさまじい。
日本史や陰陽道などに関する、相当高度な知識が要求される内容ではあるが、改行を多用するリズム感あふれる文体を駆使する、著者の巧みな筆力に乗せられて、読み進めずにはいられない。読書の醍醐味がここにある。

(2023年8月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
関連記事
素通りは許さず… 秋田県由利本荘市の“インディーズ霊場”に潜入! 鬼気迫る霊場主の想いとは?/小嶋独観
珍スポ巡って25年、すべてを知る男による全国屈指の“珍寺”紹介。今回は秋田県由利本荘市の「岩城修弘霊場」。怖いほど伝わってくる熱い想いとは――!?
記事を読む
鹿児島のケンムンと石川のダボラ…ウソとホントと怪談と/黒史郎・妖怪補遺々々
四月馬鹿にちなんで、今月は〝嘘〟にまつわる真に記録された妖怪談を補遺々々しましたーー ホラー小説家にして屈指の妖怪研究家・黒史郎が、記録には残されながらも人々から“忘れ去られた妖怪”を発掘する、それが
記事を読む
大型ロケットを“箸”でキャッチ!? 「スペースX」の偉業 ほか今週のムー的ミステリーニュース7選
10月11日~17日に世界を騒がせたオカルト・考古学・民俗学などの最新不思議ニュースから、超常現象情報研究所と編集部が厳選!
記事を読む
鹿児島県・川内地方の「度が過ぎるイタズラ」河童たち/黒史郎・妖怪補遺々々
妖怪でも愛嬌あるキャラクターから人気の河童。しかし、本来、嫌なことをしでかす妖怪であり、もっと掘り下げた逸話を補遺々々すると、出るわ出るわ嫌な河童の話ーー ホラー小説家にして屈指の妖怪研究家・黒史郎が
記事を読む
おすすめ記事